特別受益はいくらで評価されるの?

相続でよく問題となる争点の1つに、特別受益の問題があります。
特別受益とは、端的には、生前の贈与のことを指します。
ただし、民法903条では、婚姻・養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた場合とされています。
これは、例えば、扶養義務の範囲内として学費や生活費を渡された場合が、贈与ではなく扶養義務の履行であるため、特別受益として考えられないとか、少額の現金を小遣いとして渡された場合、婚姻・養子縁組または生計の資本として渡されたわけではないので、特別受益として考えられないとか、そういった場合が除外されることも意味として含んでいます。
このように、特別受益となる贈与かどうか、という問題も大きな争いになるのですが、特別受益という争いはないが、その評価額をどうするかについて、今回は考えてみたいと思います。

現金や預金を贈与された場合、少なくともその額面の価値はあると考えられます。現金や預金の価値は、最近はほぼ一定ですが、かなり前に贈与された場合には、物価指数を基に現在の貨幣価値に直して計算する場合があります。

争いが大きいのは、価格の変動する動産・不動産・債権の贈与を受けた場合です。
例えば、バブル期に不動産の贈与を受けた場合、現在の価値は相当下がっている場合が多いと思います。
他には、株式や投資信託など有価証券は、価格が常に変動することになります。
絵画などの美術品、壺などの骨とう品、宝石・時計などの宝飾品類といった動産は、そもそもの評価を出すこと自体が難しいのですが、価格の変動も大きいのではないかと思われます。

こういった価格に変動のある物を贈与された場合、どのように評価するのでしょうか。
一般的には、相続開始の時の評価額で評価すると考えられています。
では、相続開始の際に、その贈与された物がなくなっていたらどうでしょうか。
売ってしまったり、なくしてしまったり、盗まれてしまったり、壊れてしまったりと、相続開始のときに残存していない理由はいろいろと考えられます。

民法では、その904条で、「前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。」とされています。
そのため、例えば売ってしまい、相続開始のときにはなくなっていたとしても、相続開始の際に現物が残っているものとして評価することになります。

この条文は、あくまで「受贈者の行為によって、その目的である物が滅失し、又はその価格の増減があったとき」に限られます。

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