相続に強い名古屋市の弁護士の遺産分割,遺留分,遺言,相続税の相談｜愛知県

Q.母が、危篤状態です。私は母とは絶縁しており交流はありませんが、相続人は私一人です。
母の面倒は母の妹と姉がみていましたので、相続が発生すればトラブルになりそうです。母の相続が発生する前にしておくことはありますか？

(1) 寄与分とは

被相続人の財産形成に多大な貢献をした相続人には、法定相続分に加えて「寄与分」が相続の取り分として認められます（民法904条の2）。

寄与分が認められるのは、財産の維持、増加について

1. ① 被相続人の事業に関する労務の提供
2. ② 被相続人の事業に関する財産上の給付
3. ③ 被相続人の療養看護

の方法により特別の寄与をした場合です。今回は、母の妹と姉が面倒を見ているので③の療養看護が問題となります。

もっとも、「兄弟姉妹」には法律上の扶養義務が認められるため（民法877条1項）、単に生活の面倒を見ただけでは足りず、扶養義務を超えた「療養看護」が必要になります。たとえば、施設に入るとお金がかかるため、仕事を辞めてまで介護に専念したのであれば、寄与分が認められる可能性があります。

(2) 寄与分は認められるか

しかし、この「寄与分」が認められるのは「相続人」に限られます。今回のケースで相続人はご質問者様だけです（民法887条1項、889条1項2号、900条1号）。母親の姉、妹は相続人ではないため、母の面倒を見ていたとしても、寄与分（民法904条の2）は問題になりません。

そこで、母親の妹や姉が相続するのは、遺言書がある場合に限られます。そこで、まず遺言書の有無を確認する必要があります。

封のある自筆証書遺言があれば、すぐに開封することはできません。母の死後直ちに検認手続きを行って中身を確認しましょう。公正証書遺言であれば、中身を確認することができますし、相続人であれば公証役場で照会できます。
そして、遺言書があり、母の妹や姉に遺贈がなされ、ご質問者様の遺留分が侵害されてしまった場合には、遺留分を請求することができます。

また、母親と離れて暮らしているため、遺産を把握できていないのではないでしょうか。財産調査も行っておきましょう。

仮に母親の遺産を相続する場合であっても、離れて暮らす母親がたくさんの借金を負っているかもしれません。そのときは相続放棄（915条1項）の手続きも視野に入れる必要があります。相続放棄は相続開始後3か月以内に行う必要があるので、速やかに財産調査を行っておく必要があります。

親族間のトラブルとして、母の姉妹から、医療費などの立替払いをしたので、返してほしいと請求される場合があります。
このあたりの費用がどうなっているか、確認をしておいた方がいいでしょう。