弁護士 杉浦恵一
「相続分譲渡」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、今回は、この相続分譲渡について、ご説明したいと思います。 「相続分譲渡」とは、そのまま、相続人が持っている相続分を、他人に譲り渡すということです。有償(代金と引き換えにする)でも無償(ただであげる)でも、どちらでも可能です。 ここでいう「相続分」とは、個々の遺産の共有持分・共有権のことを指すわけではありません。 「相続分」とは、遺産全体に占めるその相続人の取り分の割合のこと、つまり遺産に関する相続人としての地位を意味します。 相続分全体を譲渡した場合、相続人としての地位を失いますので、その後の遺産分割等には参加できない、参加する地位を失うとされています。 「相続分」を渡しますと、相続人としての地位を失います。その意味では、相続放棄と似たところはあります。 しかし、相続分譲渡には、相続放棄と異なり、遺産分割でさまざまに活用できる場面もあります。 具体的には、どのような場面が考えられるのでしょうか。 相続放棄の場合、放棄した(元)相続人は、初めから相続人ではなかったことになります。この場合、放棄した人の相続分は、相続人でなかったことになることから、特定の誰かに移転するというよりは、放棄した人が最初からいなかったという前提で計算をし直されます。 これに対して、相続分譲渡の場合、最初から相続人でなかったということにはならず、相続分を譲渡することで、特定の誰かに相続分を譲り渡すことができます。 その結果、特定の誰かの遺産に占める相続分の割合を増やすことができます。 >>「相続分の譲渡」のページへ事務所外観
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