弁護士 杉浦 恵一
相続、遺産分割の際に、長期間にわたって登記の変更がされていない不動産が見つかることがあります。
普段は使われていない土地・建物や、先祖から引き継いだ山林・田畑など、相続人が普段接しない不動産や、遠方にある不動産は、相続が開始されても、きちんと相続の登記や遺産分割がされず、そのまま放置されることがあります。
昔は、今と比較して子供が多い傾向にありますので、2世代くらい遺産分割をせずに放置しておくと、場合によっては相続人が10人を超えることもあります。このような場合、10人を超える相続人と協議しなければならなくなりますので、解決には労力、費用、時間がかかります。
最近の報道では、所有者不明の土地の面積が約410万ヘクタールに達しており、九州の面積(約368万ヘクタール)よりも広くなっている、という話もあります。
ここでの「所有者不明の土地」とは、所有者が明確ではないという程度で、調査をしたけれども分からないというものではないと思われます。
相続人がいないということになれば、財産は最終的には国に帰属しますので、調査した上で所有者が不明という事例は少ないと思われます。
そのため、ここでの「所有者不明の土地」は、調査に時間、費用、労力がかかるため、そのような調査をしない段階では所有者が不明という意味だと考えられます。
このような所有者が不明の土地が増えてきたため、現在、法務局(地方法務局)に登記官が、所有者不明の土地の相続人を調査でき、相続人に対して登記を促すことができる制度の設立が検討されているようです。
この制度は新法で制定され、報道では、登記官が公共事業の予定地などに関する情報に基づき、その範囲で土地の調査を行い、登記名義人が死亡してから30年程度を経過した土地があれば、その相続人を探し、相続人に登記を促す、という制度のようです。
現在、相続人は、相続による登記をしなくても、特に困らない場合もあります。使わない山林や田畑であれば、なくなっても相続人は困りませんし、自分の住んでいる土地・建物であっても、他の相続人が何も言わず、そのまま使い続けることができれば、そのままでも特に不利益はありません。
そして、そういった不動産の登記は、そのままになりやすい傾向にあるでしょう。
報道での情報では、このような制度ができても、①公共事業に関係する場合、②登記を促すだけ、という2点で、どこまで実効性が高まるか不明ではあります。
公共事業に関わらない土地はそのままになるのであれば、九州よりも広い所有者が不明な土地の大部分はそのままになるでしょうし、登記を促すだけであれば、もともと土地を放置していた相続人は、促されても、費用や労力を嫌ってそのままにしておくという懸念があります。
所有者の不明を解消すること自体は、様々な面で必要だと考えられますので、より抜本的な制度が必要になるのではないかと考えられます。
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