生前贈与をする場合に、年間110万円を超えない贈与の場合は、相続税がかからず、これを超えた贈与があった場合に贈与額に応じて10~55%の贈与税が課税されるというしくみが暦年課税です。
これとは別に平成15年1月1日以降行われる贈与については、親から子に相続精算課税制度が改正され、親から子に財産を贈与する場合に、2,500万円までは贈与税がかからず、2,500万円を超える部分について、20%の税率の贈与税がかかるという課税方法を選択し利用することができるようになりました。これが相続時精算課税制度です。本制度は、60歳以上の親又は祖父母が、推定相続人である20歳以上の子又は孫に贈与する場合に利用することができるもので相続時清算課税選択届出書を贈与税の申告期限内に提出しなければなりません。利用回数や金額に制限はありません。この制度を利用して贈与された財産は、相続が開始すれば、相続財産として合算され、相続税が課税されることとなります。そして一度この課税方法を選択すれば、暦年課税を利用することができなくなります。ただし、贈与者ごとに制度の利用が選択できるので、父からの生前贈与に相続精算課税制度を利用した場合でも、母からの生前贈与について暦年課税が利用できなくなるものではありません。この制度は早期にまとまった財産を、贈与税を払うことなく子に贈与できるというメリットがあるといえます。
では、この制度を使い生前に多額の贈与を受けていた場合は、相続放棄はできるのでしょうか。相続時精算課税制度を利用した生前贈与はいわば相続財産を事前に取得する意味合いがあることから、相続放棄ができない場合である「相続財産の全部または一部を処分した場合(民法921条1項)」にあたるのではないかとも考えられることから問題になるのです。
この点について、結論は、相続時精算課税制度を利用したからといって、相続人が相続放棄することができなくなることはありません。相続放棄をしても、相続時精算課税制度を利用して生前贈与を受けた財産を返さなくてはならなくなるということもありません。ただし、相続税の計算するときに、相続時精算課税制度を利用して取得した財産は、相続財産に含められて計算され、相続税が課せられることになります。
婚姻期間が20年以上の夫婦は、住宅または住宅取得のための資金贈与について、1年110万円に基礎控除の他、贈与金額が2,000万円を超えない部分については非課税となる制度があります。贈与される不動産は、自分が住むためのものでなくてはならず、贈与を受けた者が現実に住んでおり、今後も住むことが必要です。同じ配偶者の間では1回しか利用できない制度であることは注意が必要です。
では、この制度を使い生前に居住用不動産の贈与を受けていた場合は、相続放棄はできるのでしょうか。結論から言えば、この贈与によって、相続放棄の権利まで失うものではありません。もっとも、贈与者が、債務を多く抱えた状態であったのに、他の債権者を差し置いて配偶者に贈与をした場合には、その贈与が他の債権者を害する行為として取り消されることもあり得ます(詐害行為取消 民法424条)。
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