更新日:2026年8月18日
※こちらの記事は2026年7月1日までの情報を元に作成しています。執筆時点以降の事情変更により記事の内容が正確でなくなる可能性がございます。
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に対し財産を贈与する場合に選択できる制度で、一定の要件に該当し、これを選択する届け出を事前に行えば、財産価額2500万円を上限にその時点で贈与税が課されず、追って贈与者の相続が開始された際に、相続税額の計算にこの贈与財産の価額を加算し、相続税を負担させる仕組みになっております。
令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除額が上述の2500万円の控除額とは別に設定され、令和6年1月1日以降の贈与より、本制度に基づく贈与を年110万円の範囲内で行った場合は、その年の贈与税が課されない上に、当該金額は将来の相続税額の計算に加算する必要がなくなりました。
相続時精算課税制度を利用する場合には、贈与を受けた内容を記載した贈与税申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付し、受贈者の住所地を管轄する税務署に贈与の翌年3月15日までに提出する必要があります。
ただし、年110万円の基礎控除額が新設されたことに伴い、本制度を利用した場合でも年110万円の範囲内で贈与を行った場合は、贈与税申告を提出するがなくなりました。
もし本制度を利用する初年度から110万円の範囲内での贈与しか行わなかった場合は、翌年3月15日までに上述の選択届出書のみを提出すれば足りることになっております。また、翌年以降も年110万円の範囲内での贈与しか贈与を行わなかった場合は、管轄税務署に何も提出する必要がないということになります。
この令和5年度税制改正を踏まえた暦年課税制度と相続時精算課税制度の違いをまとめますと下の表のようになります。
| 項目 | 暦年贈与(暦年課税) | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 贈与する人 (贈与者) |
原則年齢、続柄の制限なし(税率区分は贈与者と受贈者の関係で異なる) | 60歳以上の父母、祖父母など(贈与者ごとに選択・不可逆) |
| 贈与を受ける人 (受贈者) |
制限なし(直系尊属から18歳以上の直系卑属への贈与の場合は特例税率が適用される) | 18歳以上の直系卑属(子、孫など) |
| 非課税枠 | 年110万円(受贈者ごと・その年の合計) |
基礎控除額年110万円+特別控除額2500万円(特別控除は生涯で贈与者ごと) 特別控除額により贈与税の納付が不要となった財産額は将来の相続税課税の対象となる |
| 税率 | (110万円超部分に)10~55%の累進税率 |
(年110万円+特別控除額後の超過分に)一律20% ここで納付した贈与税は将来の相続税計算の中で控除(精算)される |
| 申告の要否 | その年の受贈額が110万円を超えると申告が必要。110万円以内は原則不要 | 制度選択時に届出書とともに贈与税申告書の提出が原則必要。年110万円の基礎控除額の範囲内の贈与であれば申告不要。 |
| メリット |
・選択の届出が不要で、毎年自由に活用できる ・贈与額を調整し易く、相続までの設計につき柔軟性がある |
・まとまった額を早期に次の世代に移転できる ・土地など値上がりが見込まれる資産の評価額を固定できる ・令和5年改正で年110万円の基礎控除額が新設され、その範囲であれば相続開始時に加算する必要がない |
| デメリット |
・まとまった額の贈与をすると税負担が大きくなる ・生前贈与加算の対象となる(対象となる期間は令和6年以降、段階的に延ばされ、令和13年1月以降は7年間が加算対象となる) |
・不可逆(同じ贈与者について暦年課税に戻すことができない) ・相続時に贈与時の価額で遺産に合算するため、建物など値下がることが見込まれる資産の場合は不利になり得る ・相続税計算において小規模宅地等の特例を適用する機会が失われる |
暦年贈与の場合に生前贈与額が相続時に加算対象となる期間は、令和9年1月以降段階的に延ばされ、令和13年1月以降に相続が開始になるケースより、直前7年間の加算となります。なお、令和9年1月2日以後の相続の場合、3年超部分の生前贈与については総額100万円までは相続税の課税価格に加算されないという特別枠が設定されております。
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