民法903条1項は、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」と定めています。
つまり、遺贈や贈与といった「特別受益」がある場合、相続人間の公平を図るために、その価額を考慮して相続分が算出されるのです。
特別受益持戻の制度趣旨について、判例は、「遺留分の算定にあたり、相続分の前渡しとしての意義を有する特別受益の価額を相続財産の価額に加算することにより、共同相続人相互の公平を維持することを目的とする」としています。(最判昭51・3・18家月28巻10号50頁)
被相続人の土地上に相続人の一人が建物を建築して無償で居住していた(土地を無償で使用していた)場合、土地の賃料相当額が特別受益になるでしょうか。
この場合、建物を建ててその底地を無償で使用することに”遺産の前渡し”という要素は薄いため、特別受益になる可能性は低いとも考えられます。
しかし、裁判例では、被相続人から相続人の一人に対して、土地に使用借権が設定された(建物所有を目的とする使用貸借契約が成立している)と考え、使用借権価格が特別受益に該当すると評価するものがあります。(東京地判平15・11・17判タ1152号241頁)
他人所有の建物が建っていると、それが借地権でなく使用借権であったとしても、土地の売却が困難になるため、一般的に、土地の価格が10~30%程度減価して評価されます。
この減価分を使用借権相当額と考え、相続人の一人が使用借権相当額を特別受益として取得したと評価されることになるのです。
※実際には、その土地を使用している相続人がそのまま遺産分割で相続するケースが多く、特別受益の問題として現実化しない(結局他人の使用借権の負担のない土地を取得することになるため、当初から更地評価する扱いをされる)こともあります。
被相続人の建物に相続人の一人が無償で居住していた場合、建物の賃料相当額が特別受益になるでしょうか。
⇒建物の賃料相当額は特別受益にはならないと考えられています。
一般的に、建物の使用貸借契約に伴う使用借権は特別受益とはならないと考えられています。
特別受益持戻の制度趣旨である”遺産の前渡し”という要素は薄く、また、被相続人自身の希望や看護の必要性から、相続人の一人が被相続人と同居していたというような場合には、特別受益が認められる可能性は低いと考えてよいでしょう。仮に使用借権が特別受益になるとしても、被相続人の持ち戻し免除の意思表示があると考えるのが一般的です。
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