弁護士 杉浦恵一
※こちらの記事は2023年2月16日までの情報を元に作成しています。執筆時点以降の事情変更により記事の内容が正確でなくなる可能性がございます。
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国際化の進展により、日本人が国外に居住し、そのまま居住国に帰化する事例や、外国人が日本に居住し、日本に帰化する事例が増えてくる可能性があります。
このような場合、全ての当事者が日本に住んでいる日本人である場合に比べて、誰かが外国籍の場合や誰かが外国に居住している場合、帰化している場合には、手続きが非常に煩雑になる可能性があります。
法律は国によって異なりますので、相続が発生した際に、どの国の法律が適用されるのかという問題があります。
場合によっては、日本の法律が適用されない場合も考えられます。
まず、どの国の相続に関する法律が適用されるのかですが、この点は日本の法律では、「法の適用に関する通則法」という法律が適用されます。
この法律の36条では、「相続は、被相続人の本国法による。」という定めがされていますので、日本に住んでいても、外国に住んでいても、被相続人(亡くなった方)の国籍のある国の法律が適用されることになります。
ちなみに同じ法律の37条では、遺言に関して、1項で「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。」と定め、2項で「遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。」と定めています。
そのため、遺言に関しては、仮に外国籍の方が、日本の民法に準拠した方法で遺言書を作成しても、その国籍のある国の法律では無効となる可能性もありますので、注意が必要です。
また、日本で遺産分割の取り決めができるかどうかですが、手続き上の問題があります。
例えば日本では、遺産分割協議書に実印を押印し、かつ印鑑登録証明書を添付するという運用がなされています。実印の押印+印鑑登録証明書によって相続人の意思確認をするという運用なのですが、相続人が海外に住んでいる場合、印鑑登録がない国が大半だと思われます。
そのような場合に、いったん日本に戻って来て、日本で住民登録と印鑑登録をした上で印鑑証明書を発行するのは非常に煩雑になります。
このような場合には、一般的には、相続人が国外に居住する日本人であれば、その国の日本大使館等の在外公館で署名証明(サイン証明)をしてもらい、それをもって印鑑証明に代えることが多いようです。
しかし、相続人が外国籍になっていると、このような署名証明(サイン証明)がない可能性もありますので、注意が必要でしょう。
なお、裁判所の手続によって遺産分割を行う場合には、日本の裁判所に管轄があるかどうかについて、家事事件手続法第3条の11で
つまり、被相続人の住所が日本国内にあれば日本の裁判所で遺産分割の手続をすることが可能ですが、逆に言えば、国外に住んでいると日本の裁判所では遺産分割事件を取り扱うことができない、ということになります。
これ以外にも、例えば外国から日本に帰化し、日本に住んでいる際に亡くなった方の相続であれば、特に問題はないというわけではありません。
日本の相続手続では、一般的に生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍を確認して、相続人が誰かを確定する必要があります。
しかし、途中で日本に帰化した方は、帰化した後からの戸籍しか日本にはありません。帰化によって親子関係や相続人が変わるわけではありませんので、相続人を確認するためには、帰化前に国籍があった国で、何らかの公的な相続関係・家族関係の分かるような書類を集めることが必要になります。
しかし、戸籍というのは日本など一部の国だけのようですので、相続関係を確認するために非常に労力がかかる(場合によっては確認できない)ことになりそうです。
このようなことがありますので、将来的に相続で問題が発生しそうな場合には、きちんと遺言を作っておき、戸籍の有無などで相続手続きに支障が出ないようにした方がいいでしょう。
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