事例説明を通じて、円満かつ円滑な相続とは、何か。
私の思いを話させていただきます。
平成18年相続発生
地方裁判所で、裁判上の和解が成立して、係争は終了
昭和38年の亡父の相続のときの不満が、今回の相続の一部の相続人の対応のまずさをきっかけとして、一挙に爆発しました。
一旦係争になりますと、係争は拡大していきます。
攻めると反発を呼び、さらに攻めるという攻防を繰り返し、係争の内容も質的にエスカレートしていきます。
相続財産の取得原因の追究から、相続財産の範囲、権利の負担の有無などを民事裁判まで提起して争われました。
兄弟に甥、姪、その配偶者などの親族も加わり、深刻な争いとなり憎しみ合うにいたりました。
私が、33年間の弁護士生活で、相続案件で一番精神的に苦労した案件でした。
ここまでしなければ解決できないとは、という気持ちでした。
「人とは何か」、「家族とは何か」。
また、「相続とは何か」、「円満な相続とは」「円滑な相続とは」という疑問をもちました。
相続とは、亡くなった人の財産を家族などが受け継ぐことと定義されています。
現在、多くの市民の相続に関する関心事は、財産分割の行方と相続税に向けられています。また、遺産分割協議が整わず争いとなり、長期にわたる調停・審判等による遺産分割事件(争続)が増加しています。
相続人同士の争いは、これまでの良好な「感情的係わり合い」を憎しみと憎悪に変化させ、兄弟姉妹が絶縁状態になる等の不幸を招きます。
私は弁護士になり34年目になります。
この34年間を見てみますと、相続案件での大きな変化は、相続人の数が減ったことです。
日本では、これから大幅な人口減が進みます。
将来的には、人口はどんどん減り相続人の数もどんどん減ります。
すると、自然に相続争いは無くなるはずです。
ところが、私は、相続争いが無くなることはないと考えております。
その理由は2つあります。
1つ目は、フリーライダーといわれる人の存在です。
2つ目は、「家族」の概念が変わることです。
この問題は、私の抱える難題―中小企業の経営者として、社員とその集団について、「人は何か」「集団とは何か」という悩みと質的に同じものであります。
フリーライダーとは、「義務や縛りを放棄し、いわば利益だけをちゃっかりとせしめようという存在」です。
私は、「初期人類は何を食べていたのか」という問題に興味があります。
小型哺乳類、爬虫類、昆虫、貝類。そして、木の実。果実です。
また、捕食された動物の骨を砕いて食べていたという見解に関心があります。
島泰三氏 「サルの社会と人の社会」(株式会社大修館書店)
NHKスペシャル取材班 「ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか」(角川文庫)
などの書物で、集団、それも家族のような社会の基礎となる小集団のありように触れています。
私は、哺乳類は、生存競争で、「集団でないと生きていくことができない生き物」と考えております。
こうした生き物の集団には、内なる敵が潜んでいます。
上記「ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか」(角川文庫)では、「たかり細胞」という名前がつけられています。
集団で行きる生き物である以上、フリーライダーという問題は共通しています。
サルの社会にも、チンパンジーの社会にも、そして、人の社会にも、フリーライダーが存在するのです。
相続の場面では、「必要なコストを負担せず利益だけを受けようとする人」もしくは、「コストに比して過大な利益を受けようとする人」との戦いであります。
家族も集団である以上、このフリーライダーの問題は確率としては、避けられないのです。
したがって、相続争いがなくなるということは無いのです。
家族とは、「居住を共にすることによってひとつのまとまりを形成した親族集団」のことです。
「人・物・サービス・情報」が自由に移動できるようになったことから、人の移動の距離が大きくなりました。
親子が離れて生活し長年会うことも無いなど家族のありようが大きく変わってきています。
この「距離が大きくなった」とは、「現実の距離」より、むしろ「心の距離」のほうがより問題と思います。
この移動の拡大と共に高齢化の進行により、高齢夫婦の世帯、高齢単身者の世帯が著しく増加しております。
また、介護保険制度は、高齢者の介護が従前の親子など家族の問題として扱われていた大きな課題を、社会全体の問題、社会全体の責任にしました。
私は、介護保険制度は、家族問題に大きな影響を与えたと考えております。
参考に、フランス民事連帯契約 通称 PACS(パックス)「同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約」という新しい家族契約が あります。
性別に関係なく、「助け合って生きて生きたい他人同士」がパートナーとして、契約して共同生活を送るものです。
PACSには、性的関係は要件ではないのです。
シエアハウス、グループホームも家族の一種なのかもしれません。
あるいは少なくとも擬似家族といえると思います。
このように、家族の概念は、血縁より共に生活する人に、変遷あるいはもどろうとしております。
遺言、死因贈与契約、生前贈与などの手段を事前に用意しておくことに、円滑な相続を実現することが、何に増しても一番重要です。
「円満」とは、願いなど十分に満たされることの意味ではないのです。
「円満な相続」でいう「円満」とは、「調和が取れて穏やかなこと」をいいます。
相続人皆の願いがかなうことなど無いのです。
遺言、死因贈与契約、生前贈与などの事前の措置により、争う余地の無いようにしておくのです。
争う余地がなければ、相続は円滑に進みます。
結果、円滑に完了する相続は、「調和がとれていて穏やかな相続」と評価される結果となるのです。
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