Q.父が亡くなりました。相続人は弟である私と兄です。父の遺産としては、預金の他に住宅があります。私は身体が弱いため自立することができずこの住宅で父と同居していました。兄は働いており、自分で家も持っており、貯金もしているようです。父に遺言などは特にありませんでした。父の死亡によって、私はこの住宅を出ていかなければならなくなることになったりするのでしょうか?
兄と遺産分割協議をして、合意をすればこれまで通り住宅に住み続けられることが考えられます。
被相続人である父の死によって、父の遺産は相続人である兄弟の共有となります。この共有関係を解消して、遺産を各相続人に分配して各相続人の単独所有にするのが遺産分割です。
遺産分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行われなければなりません(民法906条)。
まずは、相続人同士がこうした事情を考慮しながら合意で解決をするのが遺産分割の原則です。病気のために生活が困難である場合は、これまで住んできた住宅に住み続けられるように話し合いの中で考慮してもらうことが考えられます。もっとも、協議が整わなければ、家庭裁判所に調停や審判をしてもらうことになります(民法907条)。
まずは、兄とどのように遺産を分けるかを話し合いましょう。住宅に住み続ける代わりに預金は兄が相続するなど、住宅の価格や預金の金額を見ながら、分割の方法を兄弟で合意することが必要です。
合意が成立すれば後々のトラブルを防止するために遺産分割協議書を作成しておきましょう。遺産分割協議書に特別な形式などはありませんが、書き洩らし等を防ぐために専門家である信頼できる弁護士に相談しておくのもトラブル防止には有効でしょう。
このような話し合いをしても遺産分割の協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割の請求を行うことができます。そして、遺産分割調停が不成立となった場合には、審判手続きに移行することになります。
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