生命保険とは、保険契約のうち、保険者(生命保険会社)が人の生存または死亡に関して一定の保険給付を行うことを約するもののことです(保険法2条8号)。
生命保険契約においては、まず、被保険者(生命保険契約を保険会社と締結をした人)が、自分が亡くなったときの生命保険金の受取人を自分自身にしていることが考えられます。
次に、被保険者が、保険金の受取人を自分以外の第三者にしている場合があります。この場合を他人のためにする生命保険契約といいます。このような他人のためにする生命保険契約において、被保険者が被相続人、保険金受取人が相続人であるケースはよくあります。例えば、夫が生命保険契約を契約し、受取人を妻や子とする場合です。
相続人が、被相続人の権利や義務を一切受け継がないことを相続放棄といいます。相続によって、相続人は、被相続人の預金や所有する不動産などプラスの財産のみならず借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。被相続人にプラスの財産よりマイナスの財産の方が多いことが明らかな場合には、相続放棄を選ぶことがあります。相続放棄をすれば、その人は、初めから相続人とならなかったものとみなされることになります。
しかし、相続放棄が許されなくなる場合があります。相続財産の全部または一部を処分した場合(民法921条1項)、自己のために相続が発生したことを知ってから3か月の熟慮期間を経過したとき(同2項)、相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき(同3項)です。
以上から、亡くなった人の生命保険金を受け取った相続人は、そのことをもって相続財産の全部又は一部を処分したとして相続放棄をすることができなくなるのかが問題となります。処分行為とは、相続財産を変更する行為をいいます。相続財産にこのような行為をすれば、周囲はその相続人が相続人となることを信頼するでしょう。よって、このような場合にはもはや相続放棄をすることが許されなくなります。もっとも、相続財産以外を処分することは許されます。
生命保険金についてはどうでしょうか。生命保険金を請求する権利は、指定された保険金受取人が有するものです。
そうであるとすれば、生命保険契約において、被相続人である被保険者自身が保険金受取人であった場合、その生命保険金は被相続人のものとなります。すなわちこの場合の生命保険金は、被相続人の相続財産を構成します。よって、相続放棄をすれば生命保険金を受け取ることはできません。
次に、生命保険金の受取人が相続人となっている場合はどうでしょうか。被保険者である被相続人が死亡することにより、生命保険契約の効果として、生命保険金を請求する権利は保険金受取人が原始的に取得するものです。保険金受取人が相続人であっても、被相続人にいったん生命保険金が帰属するわけではない、すなわち、被相続人の相続財産となるわけではないのです。よって、生命保険金を受け取って、それを使っても相続財産を「処分」したことにはならないので、相続放棄をすることはできます。
以上のような違いがありますので、被相続人が生命保険に加入していた場合には受取人をしっかりチェックすることが必要となります。
この場合、保険金は相続財産を構成します。相続人が保険金を受け取ることは相続財産を受け取ること(相続すること)になります。よって、相続放棄すると生命保険金を受け取る権利はなくなり、生命保険金を受け取ると単純承認とみなされます。
相続放棄をしても生命保険金を受け取る権利はあります。また、生命保険金を受け取ると単純承認(民法921条)とみなされたり、相続放棄ができなくなるといったこともありません。
なお、この場合保険金は相続税法上は相続財産として扱われ、課税されます(相続税法3条1項1号)。
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