借地権とは、建物所有目的で土地を賃借する人が土地に対して有する権利のことです。
借地権が設定されると、通常、その土地の価値は30%~70%下落すると言われています。
逆に言えば、借地権の価値は、その土地の価格の30%~70%ということになります(借地権相当額は、国税庁の路線価図に評価割合が記載されているため、通常、更地価格にこれを乗じて計算します)。
被相続人が有する借地権を、生前に相続人の一人に贈与(無償で譲渡)した場合、借地権相当額が特別受益になると考えられます。
特別受益に該当する場合には、その特別受益に該当する借地権の評価をする必要があります。不動産の時価(更地価格)を評価し、その上で借地権の価格を評価することになりますが、不動産の評価は非常に難しいため、場合によっては鑑定が必要となります。
被相続人Aが借地権を有する土地を、被相続人の生前に、相続人の一人Bが、地主Cから底地権価格相当の金額※で買い受けたという場合、相続人の一人が借地権の贈与を受けたと評価してよいのでしょうか。
※例:更地価格が5,000万円、借地権の価値が3,000万円の土地について、底地価格(土地の更地価格から借地権価格を除いた価格)である2,000万円で買受けた場合
相続人の一人による土地の買い受けにより、借地権が消滅したといえるのであれば、相続人の一人は、実質的には借地権を無償で得ていたと評価され、借地権相当額が特別受益になると考えられます。
借地権が消滅したといえるのは、例えば、土地譲渡の時点で賃貸借契約(有償での土地使用)が使用貸借契約(無償での土地使用)に変更された場合です。
BがCから土地を買い取った時点で、Bが土地の所有者かつ賃貸人、Aが賃借人となりますが、AとBが親子であるような場合、土地の譲渡以降、BがAに無償で土地を使用させることもあるでしょう。
Bが土地所有権を取得した後のAB間の契約内容や地代の支払状況等、具体的な事情を検討する必要はありますが、契約関係が使用貸借契約に変更されたといえる場合であれば、Bは借地権の贈与を受けたのと同様の立場になり、特別受益があると評価されます。
3のように、借地権が存続していたのか、それとも消滅したのかについては、事実認定の問題となり、建物の所有関係や利用関係、賃料の支払いの有無などが考慮要素になると考えられます。
親族間での契約のために、契約書がなかったり、実際の地代の支払いの証拠資料がないということもありえます。過去の資料を集めて権利関係をきちんと把握することが大切です。
親の介護をしたり、何らかの必要性があって借地権を設定する場合もあるでしょう。借地権の設定が特別受益にあたるとしても、持ち戻し免除の意思表示があるといえる場合があります。
不動産をめぐる特別受益の問題への事前の対策として、あらかじめ、公正証書遺言を作成し、特別受益に該当する可能性がありそうな財産については持ち戻し免除をする旨の意思表示を記載しておく方法があります。
ご自身の不動産の相続をお考えになる際には、今ある財産だけでなく、過去の生前贈与や賃貸借契約・使用貸借契約の関係もあわせて検討したうえで、公正証書遺言を作成されることをお勧めいたします。
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