Q.母が亡くなり、自筆の遺言がでてきました。家庭裁判所の検認は受けています。しかし遺言書を書いた当時、母は高齢で、認知症の診断は受けていなかったものの、判断能力はなかったと思われます。あのような遺言を書くことはできなかったと思うので、兄が自分に都合のよいように書かせたのではないかと思います。遺言書を無効にすることができますか?
遺言無効確認訴訟を提起し、訴訟の中で解決することが考えられます。
遺言書の検認では、相続人などの立会いのもとで、遺言書を開封し、その内容を確認しますが、これは遺言書の存在及び内容を明確にして、偽造等を防止することを目的とした手続にすぎません。ですから、本件では、遺言書の検認を受けているとのことですが、これによって遺言が有効であることが決まるわけではありません。
遺言書は、遺言書作成時に遺言能力がない者が作成した場合には無効となります。遺言能力とは、遺言事項を理解した上で決定する判断能力のことです。純粋に医学的観点からなされる認知症とは判断の仕方が異なるため、認知症の診断の有無とは別に、遺言能力を判断することになります。
本件では、母に遺言能力がなかったことを主張し、遺言の無効の訴訟をすることが考えられます。
遺言無効の訴訟で、服用する薬の管理ができていたか、金銭を管理できていたか、言葉のやり取りに困難はなかったか、周囲との間にトラブルはなかったか、行動に誤りが多くなかったかなどの点から、遺言の作成時に遺言能力がなかったことを、主張・立証していくことになります。
どのような状況から母に判断能力がなかったと感じるのか事実を整理して、また、市町村の介護認定での調査記録、入通院先の医療機関のカルテ・検査記録、入院看護記録を検討するなどして、専門家と相談した上で有効な主張・立証を検討することになるでしょう。
また、本件では、兄が自分に都合のいいように作らせた遺言状である可能性があるとのことですが、脅されて書いた遺言状や、無理やり書かせられた遺言状は無効です。
それのみならず、兄が被相続人である母を脅して遺言書を作成させたのであれば、兄は相続人の資格を失います(相続の欠格事由、民法891条4号)。そこで、このようなことを主張することも考えられます。
本件では、訴訟を提起することになりそうですが、父の遺言能力や、兄が自分の都合のいいように遺言を書かせた証拠や状況が不明です。
本当に遺言が無効といえそうなのか、経験豊富な信頼できる弁護士に相談されることをおすすめします。
もっとも、まだ兄と話し合いをしていないようでしたら、一度話し合いをするのがよいかもしれません。
なお、遺言無効確認訴訟は調停前置主義の対象ですので、直接の話し合いが難しければ調停内で話し合うことも可能です。
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