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不動産相続手続制度に動きがあります

1. はじめに

弁護士 杉浦恵一

平成31年2月9日の日本経済新聞で報道されていましたが、政府は、所有者不明の土地問題を抜本的に解決するために、民法と不動産登記法を改正するよう諮問する方針であることが報道されました。

近似では、自筆証書遺言の方式の緩和、配偶者居住権の創設、介護に関する費用請求の規定など、相続分野ではある程度大きな動きがありました。
今回の政府の法改正方針は、相続財産となっている不動産に関するもののようです。

2. 政府の改正方針

現在、検討されている内容は、主には、①相続登記の義務化すること、②土地の所有権放棄の制度を創設すること、③遺産分割協議に期限を設けること、④相続財産管理人を土地ごとに選任できるようにすること、のようです。

①相続登記の義務化ですが、現行法では、土地の所有者がなくなり、相続が発生しても、相続登記をする義務はありません。極端な話では、明治時代に亡くなった人の名義のままになっていることもあります。土地の名義人が誰か不明な状態を防ぐために、相続登記を義務化するという話が出てきました。しかし、義務化といっても、どのように強制するのか難しいところです。

法務局が土地名義人の死亡を自動的に知る制度にはなっていませんし、義務化するといっても、死亡した事実と相続人が誰かを知らなければ、自動的に相続登記することもできません。義務を果たさない場合に罰金を科すとしても、誰でも簡単に相続人を調べられるとは限りません。
特に、長年にわたって登記せずに放置していると、相続人がどこにいるのか分からなくなってしまうこともあります。

②土地の所有権放棄の制度の創設ですが、現行では、不動産の持分を放棄することはできても、土地の所有権そのものを放棄できる制度にはなっていません。そのため、不要な土地を放棄することができれば、国民の管理の手間は少なくなります。

ただし、この場合、放棄したら誰の名義になるのかの問題があります。放棄されると国の所有になるのであれば、不法投棄物のある土地や地中の埋設物のある土地など、問題のある土地が次々と所有権放棄され、その管理・処分に多額の税金が使われる可能性も出てきます。

③遺産分割協議に期限を設けることですが、現行では、遺産分割協議には特に期限の定めがありません。そのため、極端な話では、100年前に死亡した人の遺産分割を現在することも可能です。

仮に期限を設けた場合、期限を経過したら遺産がどうなるのかの問題があります。単純に法定相続分で分けるとなりますと、それはそれで面倒が出てきますので、期限を設けるにしても、期限を経過してしまったら遺産はどうなるのか、どのように分けられるのか、をどのように決めるかが問題でしょう。

また、期限が過ぎたことをどのように知るかも問題です。土地であれば法務局が登記を管理していますし、預貯金であれば金融機関が管理しています。上場している株式・有価証券は証券会社が管理することが多いでしょう。
このような各機関に、期限を経過しても分割されていない遺産をどのように扱う権限が設けられるのかどうか、そういった問題も出てくるでしょう。

④土地ごとの相続財産管理人ですが、現行では、相続財産管理人は、全ての遺産を管理することになります。

また、申し立てるのも、放棄した相続人や債権者など一部の人に限られることになります。土地の有効活用という目的で土地ごとの相続財産管理人を選任できる制度にするのであれば、所有者不明のある土地を活用したい人・会社も相続財産管理人の選任を求められるくらいの制度にしなければ、活用は難しいでしょう。

3. まとめ

このように、不動産に関する相続制度の変更案は、いろいろな問題をもっており、大きな議論を呼ぶとは思われますが、制度設計によっては、世の中に大きな変化をもたらす可能性もあります。

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