弁護士 杉浦 恵一
最近の報道によれば、現在、法制審議会の民法部会で、相続分野に関する民法の改正を検討しているようです。
具体的にどのような変更を検討しているかと言えば、以下のような点を検討しているようです。
昔は、今と比較して子供が多い傾向にありますので、2世代くらい遺産分割をせずに放置しておくと、場合によっては相続人が10人を超えることもあります。このような場合、10人を超える相続人と協議しなければならなくなりますので、解決には労力、費用、時間がかかります。
民法上、遺言がなければ、家や預金など含めて法定相続分で分けることになります。この場合、自宅以外に預金がたくさんあれば、配偶者が自宅を取得した上、その後の生活費として預貯金・現金も取得することは可能です。 このように、自宅以外に生活に充てられる預金・現金も取得できれば、配偶者が亡くなった後の、遺された配偶者の生活も保障されやすいでしょう。
しかし、遺産分割をする際に、遺産が自宅しかない場合や、自宅以外に十分な預貯金・現金がない場合もよくあります。
このような場合、遺言等がなければ、遺された配偶者は、自宅の一部(½ )を取得するだけにとどまる可能性があります。
自宅の一部しか取得できないとなりますと、他の相続人と仲が悪い場合には、他の相続人から賃料を請求されたり、自宅を売ることを求められたり、最終的には共有物分割の裁判を起こされて競売にかけられ、自宅を失う可能性もあります。
こうして残された配偶者が自宅を失って困窮することがないよう、法制審議会では、それまで住んでいた住居に、遺産分割の内容によらずに住み続けられるよう、「配偶者居住権」を新設するという改正が検討されています。「配偶者居住権」は、土地・建物の所有権とは別に設定される権利のようです。
これは、土地・建物の権利とは別に、配偶者居住権を設定し、それには土地・建物よりも低い評価額とすることで、その低くなった分、他の遺産を多く取得できるというものです。
ただし、問題点も考えられます。配偶者居住権を設定した場合、別に所有者となった相続人は、土地・建物を売却できるのかどうか、という問題があります。
居住権付きで売却できるのか、売却されると賃料を支払う必要があるのかなど、所有権が制限されることに伴う問題があります。
遺言書には、主には自筆の遺言書と、公証役場で作る公正証書遺言の2種類があります(他にもありますが、ここでは代表的な2つだけ採り上げます)。 公正証書は、公証人が確認、作成し、保管も公証役場でされるため、確実性が高いと言えます。
しかし、費用がかかる、公正証書では気軽に遺言書が直せない、といったデメリットもあります。
自筆の遺言書は、自分で作るため、簡単に作り直すことはできます。しかし、自分で保管しなければなりませんし、亡くなった後は見つからない場合もあります。そのため、紛失の危険性があります。
このような危険性を少なくするため、法制審議会では、法務局で自筆の遺言書を保管し、全国の法務局で遺言書の有無を調べられるようにすることを検討しているようです。
このように法務局で自筆の遺言書を預かる方が、遺言に関するトラブルの一部は防ぐことができるかもしれません。
しかし、その遺言書を保管するだけであれば、誰が作成したかどのように確認するのか、内容の正確性の確認は法務局が行うのか、といった新たな問題も発生してくると考えられます。
どのような改正があるのか、一長一短だとは思いますが、制度はあくまで、存在する制度をうまく使う、ということに尽きますので、今後の動きに注目していきたいと思います。
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