中部地方のとある旧家の男性が亡くなりました。男性の顧問弁護士が、男性が全文を手書きで書き、日付及び氏名を自書し、印鑑を押した遺言書を預かっていました。
男性には三人の息子がいました。顧問弁護士は、三人の息子を男性の自宅に呼び、遺言書を見せました。
遺言書には、「とある女性と結婚した者に全ての遺産を……」ということは書かれておらず、どの遺産をどの兄弟に相続させるかが丁寧に記載されていました。また、三人の取り分が平等になるように考えられていました。
三兄弟は、父からの息子たちを想った最後のプレゼントに感謝し、涙を流しました。
遺言書どおりの内容での遺産分割も無事終わり、三兄弟は、兄弟の絆を一層深めました。
めでたし、めでたし。
……あれ?
(もちろんフィクションです)
男性が残していた遺言書は、「全文を手書きで書き、日付及び氏名を自書し、印鑑を押した遺言書」です。このような遺言を自筆証書遺言といいます。
自筆証書遺言は、遺言書保管所に保管されているもの以外は、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。また、封がされていれば、開封も家庭裁判所の検認手続で行います。
検認とは、後日の紛争に備えて、遺言書の原状を保全する手続きです。封筒に入っている、他の紙と一緒に保管されている等すれば、それらも一緒に保全されます。
検認により、裁判所が遺言書の原状を保全することで、偽造・変造を防ぐことが目的です。
1.の例では、顧問弁護士が遺言書を保管していました。顧問弁護士は、男性が亡くなったことを知った後、遅滞なく、家庭裁判所に検認の申立てをする必要がありました。
なお、仮に、誰も遺言書を保管しておらず、三兄弟(相続人)のうちの誰かが遺言書を発見した場合は、その相続人が検認の申立てをする必要があります。
検認はあくまで遺言書の原状を保全する手続きなので、検認の有無により遺言書の有効無効は左右されません。検認をしなくても、有効な遺言書は有効です。
三兄弟がとくに遺言書の偽造・変造のおそれがあるとは考えておらず、検認の必要性を感じていなければ、検認の申立てをしなくてもよいのでしょうか。
検認の申立てをしないと、5万円の過料に処されます。検認の申立てをすることは法律で定められたことですので、しておくべきです。
また、遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者は、相続欠格事由にあたり、相続人となることができないと民法で定められています。
これらの行為をしていなくても、遺言書を発見してからしばらく何もしないでおくと、他の相続人からこれらの行為をしているのではないかと勘繰られ、痛くもない腹を探られることにもなりかねません。自分の身を守るためにも、検認はするべきです。
検認の流れは以下のとおりです。
ステップ | 手続内容 |
---|---|
① | 遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てをする 例:最後の住所地が名古屋市→名古屋家庭裁判所 最後の住所地が岡崎市→名古屋家庭裁判所岡崎支部) |
② | 家庭裁判所から申立人に連絡があり、検認日程の調整が行われる |
③ | 相続人全員に、家庭裁判所から検認手続の日程が通知される |
④ | 申立人および立会いを希望する相続人が家庭裁判所に出向き、検認手続に立ち会う |
なお、自筆証書遺言であっても、遺言書保管所に保管されているものは検認が不要です。
公正証書も検認は不要です。
弁護士法人名古屋総合法律事務所は、検認の申立ての代理も承っております。ご自身のみで手続きを進めることに不安がある場合は、遠慮なくご相談ください。
より良いサービスのご提供のため、相続の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
【取り扱いエリア】
愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,
豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),
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愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村))
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笠松町),本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町
池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
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