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遺産分割

分割の難しい土地を相続した事案


当事者

母兄弟

被相続人:母親

相続人:Aさん、兄弟

相談内容

Aさんは、母親が亡くなり兄弟と遺産分割の話をしようと考えましたが、遺産が色々とあり自分では対処が難しいと考えていました。そこで遺産分割全体について相談するため、当事務所にいらっしゃいました。
お話をお聞きし、親族間で共有になっている対処が難しそうな土地が遺産に含まれていましたので、その土地をどのようにするかは将来的な課題とし、その他の遺産(金融資産)を分けるため、遺産分割協議の代理をしました。
他の相続人に連絡して協議をした結果、土地の共有持分はいったん法定相続分で相続し、金融資産も法定相続分で分けることで、遺産分割は解決しました。

解決に要した期間

約3か月

所感

遺産の中に分割が困難なものが含まれることがあります。例として、田畑などの農地、山林、遠方にある不動産などが挙げられます。このような遺産がある場合でも、何らかの分割をしなければ解決しませんし、法改正により不動産は相続による名義変更をしなければ過料がかされる可能性があります。このような場合には、やむを得ず法定相続分で共有するしかない場合も考えられます。

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法人による特別縁故者の財産分与申立の可否

弁護士 杉浦恵一

はじめに

身より(相続人)のない方が亡くなった場合で、遺言書がなければ、通常はその財産は 国に帰属 することになります。

ただし、民法(958条の2)では、特別縁故者の制度があり、亡くなった方と生計を同じくしていた方、亡くなった方の療養看護に努めた方、その他特別の縁故があった方は、裁判所に対して、遺産を分けてもらうように請求することが可能です。

統計的には不明ですが、これまでは、特別縁故者としては個人が多いのではないかと思われます。

しかし、社会保険が整備され、老人ホームなどの介護施設に入所し、身寄りがなくそこで亡くなる方も増えてきているのではないかと思われます。

このように、療養介護に努めたのが会社等の法人であった場合には、法人が特別縁故者としての財産分与を申立てし、実際に財産分与を受けることが可能なのでしょうか。

法人による特別縁故者の申立て事例

結論的には、過去の裁判例では法人に対して特別縁故者として財産分与を認めた事例があります。

松江家庭裁判所の昭和54年2月21日審判では、被相続人が約30年間にわたって勤務した社会福祉法人が、被相続人の入院後も看護者を派遣し、被相続人が亡くなってからはその葬儀も執り行ったという事例で、社会福祉法人に対して相続財産を分与することが被相続人の意思にも合致すると認定され、法人に対する財産分与が認められました。

また、那覇家庭裁判所石垣支部の平成2年5月30日審判では、法人ではありませんが、老人ホームを特別縁故者として、財産分与が認められています。

この事例では、老人ホームの職員が歩行、入浴、排せつ等の世話・介護を行い、被相続人が亡くなった際には老人ホームの職員が葬儀を執り行い、葬儀後は遺骨をその老人ホームにある納骨堂に安置し、供養をしているといった事情から、身寄りのない被相続人としては、機会があれば世話を受けた老人ホームに対して、贈与もしくは遺贈をしたであろうと推認されるということで、老人ホームに対して財産分与が認められました。

これ以外にも、高松高等裁判所の平成26年9月5日決定では、労災事故により全身まひとなって、長年にわたって介護付きの施設に入所していた方が亡くなった際に、その施設を運営している一般社団法人を特別縁故者として認めました。

この事例では、亡くなった方が首から下のまひになった後で、移動や日常生活での介護、通院の補助・介助、近隣のショッピングセンターへ買い物に連れて行く、レクリエーションへの参加といったことを行い、また被相続人から求められた独自の介護にも協力したということでした。

この施設では、有料の施設で施設利用料が支払われていましたが、それだけで特別縁故者に当たらないと判断するのは相当ではないとされ、結論として財産分与が認められています。

有料施設における特別縁故者の認定

このように、有料で入所する施設でも、手厚い介護等を受けることで特別縁故者として法人が認められる場合もあります。

今後、少子化等により身寄りがなく、施設で亡くなる方も増えてくる可能性がありますので、そのような場合には特別縁故者として財産分与申立てを検討してもいいのではないかと思われます。

特別縁故者の財産分与申立てとは? 相続人がいない場合の対応策を解説

弁護士 杉浦恵一

はじめに

身より(相続人)のない方が亡くなった場合には、最終的にその財産は国に帰属することになります。

相続人がいない場合でも、遺言書を作成し、遺贈や寄附先を決めておけば、遺言書通りに財産を遺すことも可能ですが、このような遺言書がなければ、原則として最終的な財産の帰属先は国です。

しかし、事故などで元気だった方が急に亡くなることもありますので、身より(相続人)がなく亡くなる方が、必ずしも遺言書を作成しているとは限りませんし、場合によっては実は遺言が有っても見つからないこともあり得ます。

相続人がいない場合の対応

近年では、少子化により子供がいないだけでなく、兄弟姉妹もおらず、法定相続人が1人もいないという事例が増えていくのではないかと思われます。

このような場合に、遺言書がなければ亡くなった方の財産が必ず国に帰属してしまうのでしょうか。

相続人がおらず、遺言書がない場合であっても、特別縁故者であれば財産を分けてもらうよう、裁判所に申立てをすることができます。

特別縁故者の申立てについて

民法958条の2では、「前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」と定めています。

つまり、相続人がおらず、遺言書がない場合でも、亡くなった方の療養看護に努めた方など、亡くなった方と特別の縁故(つながり)のあった方には、相続財産の一部を分けるように申し立てる権利があります。

特別縁故者は、多くは内縁の配偶者であったり、法定相続人ではない親族(いとこ、はとこ等)、長年付き合いのある友人といった方が特別縁故者に当たる可能性があります。

特別縁故者に当たるかどうか、該当した場合にどの程度の分与がなされるかは、基本的には裁判所の裁量になってきますが、特別縁故者に該当する可能性がある場合には、このような申立てをすることが考えられます。

申立ての手続きと注意点

ただし、特別縁故者として財産分与の申立てをするには、まずは相続財産清算に関する手続きが開始されている必要があります。

亡くなった方がいて、相続人がいないような場合には、利害関係者が裁判所に相続財産清算人を選任するように申し立てる必要があります。

民法952条では、「前条の場合(注:相続人がいるかどうか明らかではない場合)には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。」とされています。

この利害関係人とは、相続放棄をした元相続人や被相続人に対して債権・請求権を有している方が多いとは思われますが、特別縁故者に当たる可能性がある方も利害関係人に含まれると解釈されています。

今後の展望と準備の重要性

今後、少子化により相続人がいない状態で亡くなり、遺言書もない場合が増えてくる可能性があります。そのような場合には、近くで療養看護に努めた方などは特別縁故者として財産分与が認められる可能性があります。

しかし、特別縁故者であることが分かる資料が必要になってきますので、一緒に写っている写真、日記、手紙、何か買った際の領収書、葬儀の手配に関する資料など資料はとっておいた方がいいでしょう。

遺留分

非上場株式を遺留分侵害額の代物弁済で取得した事案


当事者

相続関係図

被相続人:Aさんの母

相続人:Aさん、兄弟

相談内容

Aさんの親族では上場していない会社の株式を持っていましたが、そのような中、Aさんの親が亡くなりました。 同時に親の自筆の遺言が見つかり、全財産をAさんではない兄弟に相続させるという内容になっていました。

その結果、上場していない会社の株式が分散することになったことで、Aさんは当事務所にご相談にいらっしゃいました。

解決内容

遺産や株主の持株数を確認すると、株式以外にもある程度の遺産があり、また上場していない会社の株式の過半数はAさんが所有していました。

そこで、遺産を相続した兄弟に遺留分侵害額請求をした上で、遺留分侵害額相当を上場していない株式で代物弁済してもらうという交渉を行い、 そのような内容で和解してAさんが株式を全て取得することができました。
そこで訴訟を提起し、主張立証をした結果、裁判官からの和解提案がなされ、保険金の一部を遺産に含めて遺留分を計算するという折衷的な解決をすることができました。

解決に要した期間

約6か月

所感

遺留分に関する制度の法改正があり、改正前の遺留分減殺請求では原則として物で返してもらう制度になっていました。 しかし、法改正で遺留分侵害額請求になったことで、原則として金銭評価し、金銭で支払ってもらう方法に一本化しました。このような法改正で考え方や対処法が変わってきますので、注意が必要でしょう。
ただし、保険金の金額が遺産額に比べても大きく、遺産に含めないと著しい不公平が生じる場合には、遺産や特別受益に含めて解決を図ることができる場合もあります。

遺留分について詳しくはこちら

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2024年のニュース

2024年12月

令和6年12月5日に名古屋高等裁判所にて遺言無効確認等請求控訴事件 について判決が出ました。

令和6年12月12日に名古屋家庭裁判所にて遺留分侵害額の請求調停事件 について調停が成立しました。

令和6年12月12日に名古屋地方裁判所にて遺留分侵害額の請求調停事件 について和解が成立しました。

令和6年12月20日に名古屋高等裁判所にて共有物分割請求控訴事件 について決定が出ました。

令和6年12月25日に名古屋地方裁判所にて共有物分割請求控訴事件 について決定が調停が成立しました。

2024年11月

令和6年11月13日に名古屋家庭裁判所にて遺産分割調停申立事件について家事調停を申立てました。

令和6年11月14日に名古屋家庭裁判所にて遺産分割調停申立事件について家事調停を申立てました。

令和6年11月13日に名古屋家庭裁判所岡崎支部にて遺産分割調停申立事件について審判が出ました。

令和6年11月26日に前橋家庭裁判所高崎支部にて相続放棄申述事件について家事審判を申立てました。

2024年10月

令和6年10月17日に東京家庭裁判所にて相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

2024年9月

令和6年9月5日に名古屋家庭裁判所にて特別縁故者に対する財産分与審判申立事件 について家事審判を申立てました。

2024年8月

令和6年8月13日に名古屋家庭裁判所にて遺言執行者選任申立事件 について審判が出ました。

令和6年8月28日に名古屋家庭裁判所にて相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

2024年7月

令和6年7月11日に名古屋高等裁判所にて遺産分割審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告申立て事件 について決定が出ました。

令和6年7月29日に大阪家庭裁判所にて相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

2024年6月

令和6年6月10日に名古屋家庭裁判所にて不在者財産管理人選任申立事件について家事審判を申立てました。

令和6年6月14日に名古屋家庭裁判所にて遺留分侵害額調停申立事件について家事調停を申立てました。

令和6年6月19日に名古屋地方裁判所にて遺留分侵害額調停申立事件について和解が成立しました。

2024年5月

令和6年5月8日に名古屋家庭裁判所半田支部にて相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

令和6年5月9日に静岡家庭裁判所にて相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

令和6年5月14日に名古屋家庭裁判所半田支部にて相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

令和6年5月17日に名古屋家庭裁判所半田支部にて相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

令和6年5月29日に名古屋家庭裁判所にて遺留分侵害額調停申立事件 について家事調停を申立てました。

2024年4月

令和6年4月25日に名古屋家庭裁判所に遺産分割申立事件 について審判が出ました。

令和6年4月23日に名古屋家庭裁判所に遺言無効確認等請求事件 について審判が出ました。

令和6年4月11日に名古屋家庭裁判所に相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

令和6年4月11日に名古屋家庭裁判所に相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

令和6年4月11日に名古屋家庭裁判所に相続放棄申述事件 について家事審判を申立てました。

令和6年4月9日に名古屋家庭裁判所岡崎支部に遺産分割調停申立事件 について家事調停を申立てました。

2024年3月

令和6年3月13日に名古屋家庭裁判所で相続放棄申述事件について家事審判を申立てました。

2024年2月

令和6年2月6日に名古屋家庭裁判所で遺産分割調停事件について調停が成立しました。

令和6年2月20日に前橋家庭裁判所高崎支部で相続放棄申述事件について申述が受理されました。

2024年1月

令和6年1月9日に東京家庭裁判所立川にて相続放棄申述事件について相続放棄申述が受理されました。

令和6年1月16日に名古屋家庭裁判所にて遺留便侵害請求調停事件について調停が成立しました。

遺言書の有効性~紀州のドンファン事件から~

弁護士 杉浦恵一

はじめに

令和6年6月21日に、自筆の遺言書が無効だと争われていた裁判の判決が出されました。そのような遺言書の有効性を争う裁判はある程度ありますので、通常の裁判であれば注目されることはありませんが、今回は紀州のドンファンとも呼ばれていた会社役員が作ったとされる遺言であったため、判決の内容が注目されていました。

事件の概要

事件の経過

この事件の経過ですが、ニュース等で報道されている限りでは、この男性(以下では「遺言者」といいます)が亡くなった後、2か月ほど経ってから、遺言者の知人男性が遺言者から預かっていたという遺言書が明らかになったという経緯です。

その遺言書の内容は、遺言者の全ての遺産を自治体に寄付するという内容になっており、そのまま何も争いがなければ自治体が遺産を取得することになりましたが、遺言者の兄弟姉妹が、遺言書は無効であるとして裁判所に遺言無効確認請求訴訟を提訴した、というものです。

事件の争点

今回の争いの争点は、遺言書が遺言者本人によって書かれたものか、それとも遺言者ではない第三者が書いたものか(偽造されたものか)、というものでした。

遺言無効が争われる場合で多いのは、遺言書が本人によって書かれたか否かよりも、遺言者が遺言を作成した当時に認知症になっており、遺言を遺す能力がなかったという争われ方の方がおおいと思われます。

仮に認知症による遺言能力の有無を争う場合には、介護保険の認定記録や病院のカルテ、介護施設に入所していればその介護施設の生活記録などを証拠として提出して、争うことが通常です。

今回の争いでは、遺言書が遺言者本人によって書かれたかどうかが争いになりましたので、主には筆跡が本人のものかどうかが争われたようです。

訴えを起こした親族側は、遺言の筆跡が遺言者とは異なるという筆跡鑑定を3件提出し、訴えられた自治体側は、督促状の筆跡と遺言書の筆跡が似ていて、遺言書も本人が書いたと主張してきたそうです。

また、筆跡以外に遺言書を本人が書いたかどうかを補充する事情として、遺言者がこれまでその自治体に寄付をしてきた記録があるとか、遺言書に押印されている印鑑が実印であるといった事情も主張されてきたようです。

事件の判決

このような主張等がなされた結果、第一審の判決としては、遺言は遺言者が書いたということで、遺言書が有効だと認めた(原告の請求を棄却した)ということです。

報道されている限りでは、裁判所が遺言書の有効性を認めた理由として、

・遺言書には、本人固有の筆跡あるいは癖が認められるため、遺言書に記載された文字の筆跡は遺言者本人のものだとみて相違ない。
・長年にわたって自治体に多額の寄付を行っており、寄付を継続する意向を示すなどしていて、遺言者の言動は遺言書の内容と矛盾しない。

といったことが主な理由のようです。

このような判決を受けて、親族側(原告)は控訴したということですので、次は高等裁判所で更に裁判が続くことになります。

事件から

この裁判から、裁判所が筆跡の鑑定をどの程度の重みをもって考慮しているかというと、印象としては、筆跡鑑定をそこまで重要視していないように思われます。

一見して明らかに筆跡が違っていれば別だとは思いますが、筆跡が似ている場合には、本人の筆跡ではないと断言することは難しいのではないでしょうか。

筆跡は必ずしも常に一緒とは限らず、年齢や健康状態によって変わってきます。特に高齢になった時には、高齢者特有の手先の揺れ・震え(振戦)が出てくることもありますので、昔の筆跡と大きく違ってくることもあります。

また、最近では日記や手紙を書かなかったり、パソコンでプリントしたり、電子的に日記を保存するといったこともありますので、筆跡を対照して確認するための資料が不足していることもあります。

筆跡鑑定についても、何らかの国家資格があるというわけではなく、あくまで経験上の意見になってきますので、厳密な科学的な鑑定とは言いにくい側面もあります。

このような点からすると、遺言書が本人によって書かれたものではない(偽造)を争う場合には、筆跡の違いを主張する場合には、かなり大きな違いがないと難しいかもしれません。

2024年7月 お客様の声

当事務所を御利用いただいたお客様へのアンケートから、掲載許可をいただいたものについてご紹介いたします。

No.128 匿名希望 様

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アンケート

No.127 匿名希望 様

スタッフの対応

スタッフの対応

■ ご意見・ご感想をお聞かせください。
⇒ 相続でお世話になりました知識の乏しい私たちにわかりやすく教えて下さり大変助かりました。ありがとうございました。

遺留分

保険金の一部を遺産に含めて遺留分侵害額請求した事案


当事者

被相続人:父親

相続人:Aさん、兄弟

相談内容

Aさんは、父親が亡くなったため相続の手続をしようとしたところ、兄弟から自筆の遺言書の検認申立てをされました。
その遺言では、兄弟に全ての遺産を相続させるという内容になっていたため、その対応の相談に当事務所にいらっしゃいました。

解決内容

Aさんに確認したところ、その自筆の遺言は被相続人本人の筆跡で間違いなさそうだということでしたので、遺言に形式面の問題がなかったことから、兄弟に対して遺留分侵害額請求をすることにしました。

遺産を調査した結果、兄弟に対して多額の保険金が支払われていることが分かりましたので、その保険金も遺産に含めて遺留分を計算するように交渉しましたが、協議はまとまりませんでした。
そこで訴訟を提起し、主張立証をした結果、裁判官からの和解提案がなされ、保険金の一部を遺産に含めて遺留分を計算するという折衷的な解決をすることができました。

解決に要した期間

約6か月

所感

遺産分割や遺留分侵害額の請求において、保険金は受取人が決まっており、保険会社から支払われるものだということで、原則としては遺産には含まれないと考えられています。
ただし、保険金の金額が遺産額に比べても大きく、遺産に含めないと著しい不公平が生じる場合には、遺産や特別受益に含めて解決を図ることができる場合もあります。

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特別寄与料の請求方法などについて

弁護士 杉浦恵一

はじめに

民法の改正により、特別寄与料に関する条文が新設されました。 これまでは、相続人以外で介護等を行った方は、相続人の介護と同視して関係のある相続人が寄与分を求める方法で間接的に請求をすることが多かったと思われます。 介護等をする場合に、介護等を受ける被相続人と、その生前に何らかの契約・合意があれば、それに従って請求することも考えられましたが、一般的にはそのようなことは稀であり、通常は善意に基づいて行っていることが多かったと思われます。

特別寄与料の要件

民法の改正により新設された特別寄与料ですが、民法1050条1項では、以下のような定めがあります。

「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。」

この条文を見ますと、①相続人以外の被相続人の親族であること、②被相続人に対して無償で療養看護等の労務提供をしたこと、③被相続人の財産の維持又は増加に寄与があること、④その寄与が特別のものであること、といった辺りが要件になりそうです。

請求の期間制限

他の条文を見ますと、特別寄与者は、相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過する前、又は相続開始の時から1年を経過する前であれば、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるとされています(同条2項)。

このような期間制限がありますので、特別寄与料の請求をする場合には、早めに動いた方が良さそうです。

特別寄与料の額

裁判所に処分の請求があった場合には、裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定めるとされていますが(同条3項)、特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができないと制限が加えられています(同条4項)。

このような金額に制限がある点は、通常の寄与分と同様で、あくまで被相続人の遺贈などの意思の方が優先されるようです。

負担者と管轄裁判所

特別寄与料が認められる場合、それを誰がどのように負担するかですが、民法1050条5項では、「相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。」とされていますので、具体的な相続分の割合で按分負担することになります。

特別寄与料に関しては、相続人との話し合いによって定めることもできますが、話し合いでは決まらない場合には、裁判所に法的手続きを申立てざるを得なくなります。その場合、調停手続と審判手続が考えられますが、調停であれば申立てられる相続人の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄裁判所となり、審判であれば原則として相続開始の地(被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所)となります。

特別寄与料を定める事件は、寄与分の事件とは異なり、必ずしも遺産分割事件と一緒に行う必要はありません。

これは、特別寄与料が特別寄与のある方の貢献に報いるため、遺産から一定の分配をすることを認める趣旨ですので、必ずしも遺産分割事件と一緒に行う必要性がないという考えによります。

実際に、遺産分割事件と一緒に行いますと、長い場合には数年かかることもあり得ます。他方で、特別寄与料はあくまで遺産の範囲内でしか分配できないことから、金額を決める上で遺産の額が重要になってきます。そのため、場合によっては遺産分割の事件と一緒に進行することになり、かなりの時間がかかる可能性もあることに注意が必要でしょう。

遺産分割

兄弟から親の面倒をみたということで寄与分を主張された事案


当事者

相続関係図

被相続人:父親

相続人:Aさん、兄弟

相談内容

Aさんは、父親が亡くなったため、兄弟との間で遺産分割の話をすることになりましたが、兄弟から親の面倒をみたということで寄与分を主張され、話がまとまりませんでした。
また、実家の不動産が空き家になっており、どちらも住んでいなかったため、空き家をどちらが取得するかということでも問題になりました。
話が進まなかったため、兄弟が遺産分割調停を申し立てたことで、Aさんはその対応をご相談にいらっしゃいました。

解決内容

当事務所では、寄与分を明確にするために、相手方に遺産分割調停に加えて寄与分調停を申し立ててもらい、その内容に反論しました。

その結果、若干だけ兄弟が多めに取得するという内容で遺産分割調停は成立しました。実家の不動産(空き家)に関しては、裁判所の判断に委ねるとリスクがありましたので、2分の1の共有とした上で共同で売却することを合意しました。

解決に要した期間

約1年

所感

遺産分割の際には、どの相続人も取得を希望しない遺産があることがあります。

最近では、山林や田畑などだけでなく、空き家になった実家も、使わないという理由で取得を希望されないことがあります。
この場合には遺産の押し付け合いになってしまい、評価額を調整して取得者を決める場合や、裁判所に判断を委ねる場合があります。

裁判所に判断を委ねると、希望しなくても取得者とされてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

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