相続に強い名古屋市の弁護士の遺産分割,遺留分,遺言,相続税の相談|愛知県

弁護士法人 名古屋総合法律事務所の相続分野専門サイト

名古屋・丸の内事務所

地下鉄 鶴舞線・桜通線
丸の内駅4番出口徒歩2分

金山駅前事務所

金山駅
南口 正面すぐ

一宮駅前事務所

名鉄一宮駅・尾張一宮駅
徒歩5分

岡崎事務所

JR岡崎駅
徒歩5分

フリーダイヤル0120-758-352

弁護士法人名古屋総合法律事務所は、相続・離婚・交通事故・債務整理・不動産法務・中小・中堅企業法務の6分野に特化した法律事務所です。

遺言執行者の通知義務

この記事は2025年6月12日に更新されました。

弁護士 杉浦 恵一

遺言執行者には、就任した際に相続人へ通知を行う法的義務があります(通知義務、民法1007条2項)。この通知義務は、民法の改正により明文化されたものであり、相続人との間で不要なトラブルを防ぐためにも非常に重要です。

遺言執行者の通知義務

改正前は、通知しなくてもよかった

改正前民法では、遺言執行者が就任した場合、遺言の内容を相続人に対して通知しなければならない旨の規定は存在しません。

規定が存在しないため、遺言執行者は通知をしません。

そのため、後日事情を知った「相続財産を取得しない相続人」との間で問題が生じることがあり得ます。

もっとも、遺言がある場合には、相続人が遺言と異なる遺産分割をしてしまう可能性がありますので、通常は遺言執行者から相続人に通知する例が多いとは思われます。

なお、弁護士や司法書士等は遺言執行者に就任する場合に、相続人へ、

「遺言執行者に就任した旨の通知」

と共に

「遺言内容や財産目録」

を通知するのが通常です。

改正後は、通知が義務づけられました

令和元年7月1日に民法が改正されました。

遺言執行は適正に行われなければならないという観点から、 遺言執行者はその就任後に「その旨をすべての相続人に通知すること」を義務づけるという規定が新設されました。(民法1007条2項)

遺言執行者はその就任後に「その旨をすべての相続人に通知すること」を義務づけるという規定が新設されました。width=

第1007条 改正民法
1 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わねければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

遺言書のコピーを通知するなどする

遺言書のコピーを通知するなどする

この通知義務の内容は、その「就任の事実」だけを通知するだけでは不十分で「遺言書の内容」まで相続人に知らせることになっています。

具体的には遺言書のコピーを添付して相続人に通知することが考えられます。

誰に通知するべき?

通知はすることになりますが、遺言執行者はだれに通知すべきでしょうか?

民法の規定から見ますと相続人を対象としていて、相続人以外の遺贈等による受遺者は通知の対象としていません。

これについては、相続人は遺言による相続手続きの履行や遺留分侵害額請求をするため、遺言内容や遺言執行者の有無につき利害関係を有しているから対象とされている一方、遺贈の特定受遺者に関しては相続人に比して必要性が低いと考えられているようです。

遺贈の特定受遺者に関しては相続人に比して必要性が低いと考えられているようです。

ただし、同じ遺贈でも包括受遺者(遺産の全部または割合的な一部分を遺贈された者)は民法990条により相続人と同一の権利義務を有すると規定されていることから、遺言執行者の通知が必要であると考えられます。

なお、遺言執行者が就任をしたことを通知しない場合には、相続人等から遺言執行者として指定されている者に対して、就任をするかどうか問い合わせ・催告をすることができます。

この問合せ等に対して確定的な回答をしなければ、就任を承諾されたとみなされますので、注意が必要です。

※民法1008条 相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

就任時だけでなく、請求を受けた時、執行終了した時も通知します

就任時だけでなく、請求を受けた時、執行終了した時も通知します

遺言執行者は、就任時の通知の他にも、相続人や包括受遺者から請求されたときは、いつでも遺言の執行状況を報告する義務があります。

また、遺言の執行が終了した場合、遺言執行者は、相続人や包括受遺者に対して、遅滞なく経過及び結果を報告しなければなりません。

遺言執行者にはこのような義務もありますので、任務の懈怠がありますと、場合によっては損害賠償責任を負う可能性がありますので、注意が必要でしょう(東京地方裁判所 平成23年9月16日判決など)。

遺産分割

遺産分割協議書が一方的に送られてきた際の解決事例


関係者

被相続人:Aさんの父
相続人:Aさん、Aさんの兄
依頼者:Aさん

概要

Aさんは、父が亡くなったため、兄と遺産分割協議をする際に、遺産の整理などを兄に任せていました。しばらくして兄から、不動産などの遺産は兄が全て取得し、Aさんには預金の一部だけ取得させる内容の遺産分割協議書が一方的に送られてきたため、Aさんは自分で話をするのは困難だと思い、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

預貯金の履歴を調べると、生前に父の口座から兄にある程度の金銭が振り込まれていることが分かり、この点を争うことも考えられましたが、Aさんは早期解決を希望していたため、生前の金銭については争わないという条件で、不動産を概ね半分ずつ分割し、価値の差額を代償金で支払ってもらうということで、早期に解決しました。

所感

生前に被相続人の口座から引き出しがあったり、相続人の口座へ送金があることもあります。このような場合、損害賠償請求権や不当利得返還請求権を相続したということで、遺産分割とは別に争うこともあります。

ただ、かなり時間と労力もかかりますので、こういったことを不問にして、遺産分割を早期に解決するという方法も考えられます。

解決に要した期間

約3か月

遺産分割について詳しくはこちら

解決事例一覧へ

2021年のニュース

2021年9月

9月14日に名古屋家庭裁判所に遺産分割調停申立事件について家事調停を申立てました。

2021年8月

8月4日に名古屋家庭裁判所に特別代理人選任申立事件について家事審判を申立てました。

8月18日に名古屋家庭裁判所に遺産分割調停申立事件について家事調停を申立てました。

8月18日にさいたま地方裁判所熊谷支部にて共有物分割請求控訴事件の確定判決に基づき、競売開始決定が出ました。

8月23日に東京地方裁判所立川支部にて遺留分減殺請求事件について和解が成立しました。

8月26日に名古屋家庭裁判所に相続放棄申述受理申立事件について家事審判を申立てました。

2021年7月

7月1日に徳島家庭裁判所に相続放棄申述受理申立事件について家事審判を申立てました。

7月5日に徳島家庭裁判所に相続放棄申述受理申立事件について相続放棄申述が受理されました。

7月20日に名古屋家庭裁判所半田支部に相続放棄申述受理申立事件について家事審判を申立てました。

2021年6月

6月3日に山口家庭裁判所周南支部に相続放棄申述申立事件について相続放棄申述が受理されました。

6月16日に名古屋家庭裁判所に相続放棄申述が受理されました。

6月16日に東京家庭裁判所に相続放棄申述が受理されました。

6月16日に東京家庭裁判所に相続放棄申述が受理されました。

6月17日に名古屋家庭裁判所にて遺産分割調停が成立しました。

6月22日に名古屋家庭裁判所にて遺言無効請求について和解が成立しました。

6月23日に名古屋家庭裁判所に相続放棄申述が受理されました。

6月23日に名古屋家庭裁判所に相続放棄申述が受理されました。

6月30日に名古屋高等裁判所にて更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件について判決が言い渡されました。

2021年4月

4月6日に名古屋家庭裁判所に請求すべき按分割合に関する処分申立事件について審判が確定しました。

4月8日に名古屋家庭裁判所に相続放棄の申述が受理されました。

4月8日に名古屋家庭裁判所に後見開始の審判申立事件について審判が確定しました。

4月14日に岐阜家庭裁判所中津川出張所に相続申述が受理されました。

4月19日に山口家庭裁判所周南支部に相続放棄申述受理申立事件 について家事審判を申立てました。

4月28日に岐阜家庭裁判所多治見支部に相続放棄申述受理申立事件 について家事審判を申立てました。

2021年3月

3月10日に名古屋家庭裁判所岡崎支部にて遺産分割調停申立事件について家事調停を申立てました。

3月10日に名古屋家庭裁判所岡崎支部にて遺産分割調停申立事件について家事調停を申立てました。

3月12日に名古屋家庭裁判所にて遺留分侵害額の請求調停事件について調停が成立しました。

3月19日に名古屋家庭裁判所にて相続放棄申述受理申立事件について家事審判を申立てました。

3月19日に名古屋家庭裁判所にて相続放棄申述受理申立事件について家事審判を申立てました。

3月25日に名古屋家庭裁判所にてて審判前の保全処分(仮分割仮処分)申立事件について審判が出ました。

3月31日に名古屋高等裁判所にてて後見開始の審判に対する即時抗告事件について決定が出ました。

2021年2月

2月12日 名古屋家庭裁判所岡崎支部に、成年後見開始申立事件について家事審判を申立てました。

2月16日 さいたま家庭裁判所にて、遺産分割調停事件について調停が成立しました。

2021年1月

1月4日 名古屋家庭裁判所にて、遺産分割調停事件について調停が成立しました。

遺産分割

疎遠な親族と遺産分割した事例


関係者

相続関係図

被相続人:Aさんの叔父
相続人:Aさん、Aさんの妹、Aさんの弟、Aさんの叔父2人(被相続人の兄弟)、Aさんの従妹3人(被相続人の姪)
依頼者:Aさん

概要

Aさんは、叔父が亡くなったため、被相続人の兄弟と遺産分割の話をしていましたが、きちんと相続人を確認していませんでした。いざ相続人を確認すると、以前に亡くなっていた叔父の兄弟に子供がおり、この子供達も相続人になることが分かりましたが、親族の付き合いがなく住所等の連絡先が分かりませんでした。自分では対応できないと考えたAさんは、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

解決までの道のり

当事務所では、住所を調査し、亡くなった兄弟の子にそれぞれ手紙を出して連絡したところ、いずれの兄弟も、法定相続分でなくてもいいので一部遺産はほしいということでした。
そのため、簡易に解決するため、遺産分割が終わったらAさんから代償金を払う代わりに相続分を譲渡してもらい、Aさんと叔父の兄弟で遺産分割を行って、相続手続きを完了させました。

所感

兄弟姉妹は疎遠になることがあり、兄弟姉妹の相続では、亡くなった兄弟姉妹の子にも代襲相続権があります。そのため、知らない親族も含めて遺産分割の話をしなければならないこともありますので、注意が必要でしょう。

解決に要した期間

約6か月

遺産分割について詳しくはこちら

解決事例一覧へ

遺産分割

遺産分割時になって知らない親族がいることが判明した事例


関係者

相続関係図

被相続人:母
相続人:子供(依頼者のAさん)
依頼者:Aさん

概要

Aさんは、兄弟が亡くなったため、遺産分割のため戸籍を集めたところ、かなり前に養子に出された兄弟がいることが分かったり、直近でなくなった兄弟よりも前に亡くなった兄弟が、実は養子であり、その養子の親が相続人になることが分かるなど、相続関係が非常に複雑であることが分かりました。

自分では対応できないと考えたAさんは、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

解決までの道のり

当事務所では、相続人の住所を確認した上、手紙を出して相続に関する意向を確認し、意向をとりまとめて話し合いで遺産分割を成立させることができました。

所感

続人は戸籍謄本を取得して確認することになりますが、実際に確認すると養子がいたり、認知した子がいたりと、知らない親族がいることもあります。

この傾向は、過去の時期ほど多いようですので、遺産分割の際には思わぬ相続人がいないか注意が必要です。

解決に要した期間

約3か月

遺産分割について詳しくはこちら

解決事例一覧へ

夫の死後も、夫の家に住み続けられる?

夫が亡くなった時、のこされた妻は、一緒に住んでいた夫名義の家にそのまま住み続けることができるでしょうか?

喪服の参列者

「配偶者居住権」とは、
① 亡くなった人(被相続人)の所有する居住建物に住んでいる配偶者が、

② 亡くなった人(被相続人)の相続開始後も、

  • 「住み慣れた居住環境での生活の維持」
  • 「生活資金としての預貯金についても確保したい」
という配偶者の希望をかなえるため、

③ 配偶者のために居住建物の所有権を取得するのではなく、
「処分権限のない使用収益権限のみを取得する」ことにより、

④ 遺産価値を収縮させた居住権を確保させ、
収縮させた遺産価値の分金銭を取得することができる制度です。

配偶者居住権の要件

配偶者居住権の成立要件は下記の2つです。

1 配偶者が相続開始時に被相続人の建物に居住していたこと

内縁関係ではない

「配偶者」には内縁の配偶者は含まれません。

賃貸ではない

目的となる「建物」は、相続開始時、被相続人の相続財産(生前所有していた)でなければならず、被相続人が借りていた建物は含まれません。

また被相続人が建物の所有権を単独でなく共有持分を有していた場合は、被相続人の配偶者(以下、「配偶者」)との間で共有している建物以外は「建物」に含まれません。

電話する女性

店舗もOK

「建物」が店舗兼住宅であった場合も店舗部分も含めて建物全部に配偶者居住権を取得できます。

一部を貸している

「建物」の一部が相続開始前から第三者に賃貸されていた場合、配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物の相続開始後の建物所有者(以下、「建物の所有者」)との関係では、第三者に賃貸されている部分も含め、建物全部について使用収益できる権利を取得します。

ただ相続開始前から賃貸している賃借人は賃貸人たる地位を承継した建物所有者に賃料を支払います。

生活の本拠地である

「居住していた」とは配偶者が被相続人の建物を生活の本拠としていたこと、です。

配偶者の住民票上の住所が居住建物にあるだけでなく、実質的に判断されます。

例えば、相続発生時に施設や病院に入所・入院していて、実際に住んでいなかったという場合は原則「居住していた」となりません。

しかし、配偶者の家財道具が建物に残してあり、入院が一時的で建物に帰ることを予定していれば「居住していた」ことになりえます。

2 その建物について配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割、遺贈、死因贈与がされたこと。

資料に記入する男性

死因贈与

「死因贈与」は改正民法第1028条には規定はないですが、民法第554条によりその性質に反しない限り遺贈の規定が準用されることとなっています。

遺産分割

「遺産分割」には遺産分割の審判も含まれます。

  • 審判では、共同相続人の間で配偶者居住権の取得の合意が成立した場合

または

  • 配偶者が家裁に配偶者居住権の取得を希望する旨を申出て、建物の所有者の不利益を考慮しても配偶者の生活のため特に必要がある場合

は、仮に他の相続人が反対していても配偶者居住権を取得可能です。

遺贈

遺言書で配偶者居住権を相続させる、という条項があっても配偶者に配偶者居住権を取得させることはできず、その条項は無効です。

但し、遺言者が無効の遺言書を作成したとは考えにくいので、配偶者居住権を遺贈をしようとした、と解釈できないかを検討することになります。

お困りごとがあれば何でもご相談ください

相続で、住みなれた家に住めなくなるのは困りますよね。

義理の家族との話し合いも、気を使ってしまいますよね。

一人で悩まずに、ご相談ください。私たちが味方になります。

共有の解消や所有者不明土地の解消に向けた法改正

弁護士 杉浦恵一

今年の4月21日、相続や共有の不動産、所有者不明土地の解消に向けて、色々な法案が可決されることになりました。

ガベル

今後、順次施行されていきます。
困ったときに使える可能性もありますので、今後の運用や使われ方などに注意していった方がいいでしょう。

共有物の変更や管理方法に関する条文の見直し

家とペン

これまでの民法では、共有物について、「保存」・「管理」・「処分」といった考えがありました。
民法の改正により、この辺りの考え方がやや明確になりました。

共有者が行方不明の場合

共有者の中で、所在が不明な者がいるケースがあります。

その場合、裁判所の関与の下、公告等を行った上で、所在が判明している残りの共有者で共有物の変更ができるといった制度が創設されました。

共有関係の解消に関しては、共有物の分割方法が明文化され、はっきりとしました。

共有分割裁判もしやすくなった

相続開始から10年間を経過したことなど所定の要件を満たした場合。

遺産として共有になっている不動産を、共有物分割訴訟によって分割することができるように法改正されました。

裁判所

今までは共有解消は手間がかかって大変だった

相続が発生しますと、不動産は相続人間で共有となります。
遺産分割が終了するまでは、共有状態が継続します。

ですから、いきなり「共有物分割の裁判」は出来ないと考えられてきました(最高裁判所昭和62年9月4日判決)。

そのため、これまでは遺産の中に不動産があった場合には、まず遺産分割協議を行っていました。

悩む男性

遺産分割の中で共有になった後で、共有状態を解消できない場合には、共有物分割裁判をするという流れになっており、非常に手間がかかることがありました。

今回の法改正で、相続開始から10年を経過したこと等の要件を満たす必要はありますが、かなり古い遺産が放置されている場合などには、いきなり共有物分割訴訟を起こすことができ、便利になった可能性はあります。

ケースによって例外はあります

ただ、改正民法では、相続人が異議の申出をすると、いきなりの共有物分割はできない場合もあるようです。

必ずできるわけではない点に注意は必要です。

所有者が不明な土地に関する法制度

今回の法改正で、所有者が不明な土地についても、利用しやすい仕組みに変わりました。

シャッター街

所有者不明の土地でも、必要に応じて、利害関係人が請求すれば、裁判所が「所有者不明土地管理人」による管理を命じることができるようになります。

相続に関する法改正

相続の分野では、

「相続財産管理人」の規定が見直された
相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、原則として特別受益や寄与分の規定が適用されなくなったり、法定相続分や指定相続分で分割しなければならなくなった

上記のように、遺産分割をせずに放置した場合のペナルティのようなものが設けられるようになりました。

家族

このような点がありますので、遺産分割は特別な事情がない限り、速やかに行った方がいいと考えられます。

他方、特別受益や寄与分を主張されたくない相続人は、
敢えて長期間、遺産分割をしないという方法をとる可能性も出てきます。

相続による登記の義務化

家と電卓

一連の法改正により、所有者が不明な土地の発生を防止するため、

  • ① 不動産の所有権があると登記されている名義人に相続が開始したとき
  • ② その相続によって不動産の所有権を取得した者・遺贈により所有権を取得した者は、
  • ③ 相続を知り、かつ不動産の所有権取得を知った日から3年以内に、「所有権移転登記」を申請しなければならないことになりました。

登記申請を放置していると、罰金もあります

これまでは、相続の登記はいつまでにしなければならないという義務はなく、かなり長期間にわたって名義変更されないまま、さらに2、3回の相続が発生して更に複雑化するということもありました。

正当な理由なく登記の申請をしなかった場合には、10万円以下の過料に処される可能性があるということで、注意が必要でしょう。

遺産分割

生前に兄弟に預金を引き出されていた事例


関係者

相続関係図

被相続人:母
相続人:子供3人
依頼者:Aさん

概要

Aさんは、母が亡くなったため、兄弟と遺産分割の話をしようとしました。すると兄弟が遺産分割の話に応じず、連絡が取れなくなりました。

また、母の自宅が空き家になっており、その管理の問題もありました。

Aさんは、兄弟と連絡が取れなくなったため、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

解決までの道のり

当事務所では、Aさんを代理し、兄弟へ連絡を取ることと、並行して遺産の調査を行いました。

遺産の調査を行うと、兄弟によって母の預金が引き出されたり、解約されていることが分かりましたので、その点も含めて交渉することになりました。

交渉の過程で話し合いでの解決が難しいと考えられたため、遺産分割調停を申し立てましたが、最後まで不動産を誰が取得するのか、どのように評価するのか決まりませんでした。

そこで、調停中に不動産だけ法定相続分で共有名義にして、別途売却した上、他の遺産は過去の引き出しなどを含めて解決することで、遺産分割がなされました。

所感

遺産の中に不動産がある場合、誰が取得するかという問題があります。

誰かが使用していれば、通常はその使用者・居住者が取得することが多いですが、空き家になると相続人間で押し付けあいのような状態になることもあります。

また、不動産の評価額も問題になることが多くあります。

不動産の評価額は必ずしも明確になりませんが、第三者に売却すれば、売れた価格が評価額ということになると考えられます。

解決に要した期間

約2年

遺産分割について詳しくはこちら

解決事例一覧へ

遺産分割

不動産を換価することで、円満解決ができた事案


関係者

相続関係図

被相続人:父
相続人:子供4人(実子2名・養子2名)
依頼者:Aさん、Bさん(養子)
相手方:Cさん、Dさん(実子)

概要

本件は、相手方2名との裁判外での話し合いによる解決は困難であると判断した依頼者2名が、自ら遺産分割調停を申立てたのち、その後の調停手続きを依頼したいと弊所にご相談にいらっしゃいました。

調停申し立て後、相手方らにも弁護士がつきました。

解決までの道のり

本件では、主たる遺産が、被相続人が居住していた店舗兼住宅でした。

相続開始後、かかる不動産に相手方が居住しながら、店舗での営業を続けていましたが、赤字が続き、営業を続ければ続けるほど負債が増えていく状況でした。

依頼者としては、早期に不動産を売却して、換価分割することを希望していましたが、相手方としては、思い入れのある不動産であったこともあり、なかなか売却の決断ができずにいました。
かといって、相手方に代償金を支払える資力もなく、話し合いがなかなか進まない状況が続きました。

しかし、かかる不動産について、相続人全員が納得いく金額で買い取りたいと希望する買主が見つかったことにより、相手方も不動産を売却することに承諾しました。

不動産の売却については、買主には仲介業者が入りましたが、依頼者である売主側には、双方弁護士が売買契約に積極的に関与することで、仲介業者を入れることなく進めることができました。

所感

本件では、依頼者が遠方にお住まいだったこともあり、不動産の売却についても、弁護士が代理人として進めていきました。

そのため、数百万単位の仲介手数料を節約することができ、相続・不動産に強いという弊所の強みを存分に生かせた事案であったと思います。

解決に要した期間

約1年6ヶ月

本件では、途中で養子縁組無効確認訴訟を経るなど、不動産売却に至るまでの争いが長かったこともあり、解決には時間がかかりました。ただ、不動産を売却すると決めてからは、スピーディに解決することができました。

遺産分割について詳しくはこちら

解決事例一覧へ

不動産の名義人が亡くなったら

はじめに

不動産に対する権利関係は、法務局において「登記事項証明書」(一般的に、登記簿と言われています)で記録されています。

遺族

「登記名義人」が死亡した場合、相続人や受遺者は、「登記事項証明書」の名義人を変更する「相続登記」をすることになります。

死亡届を出しても登記は変わらない

相続人が「死亡届」を市役所に提出したとします。
しかし、市役所と法務局は別の組織です。

法務局

そのため、相続登記が自動的に行われることはありません。

また現状の「不動産登記法」は、

「権利の登記」は義務でなく権利

というスタンスをとっています。

ですから、相続登記は、自ら登記申請を行わなければいけません。

登記は義務ではないので、土地がそのまま放置される

また登記申請は義務ではないことから、登記しないままにされてしまうことがあります。

「相続登記」がされないまま放置され、所有者が不明な不動産が発生しています。

所有者不明土地は、

  • 不動産の活用が困難
  • 近隣への損害
  • 治安悪化
などの問題を引き起こしています。

シャッター街

国土交通省の土地白書によると、2018年に登記簿のみでは所有者の所在が確認できない土地が全国の20.1%もあるそうです。

また、法務局の2017年の調査によると、最後の登記から50年以上経過している土地は、大都市の約6.6%、中小都市と中山間地域の約26.6%に及ぶそうです。

市町村が不動産の所有者を探索するにしても、相続人調査とその連絡のためのコストを負担しなければなりません。

所有者不明の土地の法律が変わります

そこで、この問題の対策として民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(案)が2021年4月21日の参議院本会議で成立しました。

裁判

なお、改正法は2023年度ごろに施行される予定です。詳細は今後決めていくことになります。以降、令和3年4月時点の情報です。

相続した後の登記は義務になります

1. 相続登記の義務化及び罰則の制定
相続人が相続・遺贈で不動産取得を知ってから3年以内に登記申請することを義務化し、違反者は10万円以下の過料の対象となるようです。
Q では相続は開始したものの遺言はなく、相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合はどうすればいいでしょうか?
A 相続開始から3年以内に遺産分割協議がまとまらずに相続登記ができない場合は、
①法定相続分による相続登記をする
もしくは、
②自分が相続人であることを期間内に法務局に申告する
(仮に相続人申告登記といいます)
どちらかで、過料は免れるようです。

① 話し合いがまとまらない時はとりあえずいったん登記する。改正後は単独でもできるようになります。

相続人間の遺産分割がまとまらず、速やかに相続登記ができないときは、法定相続分で相続登記を行うことにより、過料を免れることができます。

しかし、そのままだと法定相続分で不動産を共有することになります。

そこで、法定相続分による相続登記後、遺産分割協議を行うことにより遺産分割で取得した相続人は、遺産分割による移転登記を行う必要があります。

喪服

この遺産分割による移転登記においても、遺産分割の日から3年以内に登記をすることが義務づけられるようです。

なお、法定相続分による相続登記後、遺産分割による移転登記は、他の相続人の協力がなければ移転登記ができません。

登記の促進のために、法改正により、不動産を取得した者の単独で登記申請することができるようになるようです。

② あるいは、相続人申告登記をする

一方、相続人申告登記では、相続人であることを申告した者の氏名・住所などが法務局により「登記事項証明書」に記載されるようです。

これは、被相続人から相続人に権利が移転したということではなく、被相続人(登記名義人)が亡くなったことを示す登記手続きのようです。

カウンセリング

この相続人申告登記をした後に遺産分割協議がまとまって相続人が不動産取得した場合は、遺産分割された日から3年以内に登記しなければ過料のようです。

遺言がある場合でも、単独で申請できるように変わります

遺言書

なお、現行法では、相続人に対して遺産を遺贈する遺言があった場合には、法定相続人全員(遺言執行者が選任されているときは遺言執行者)の協力がないと遺贈による移転登記ができません。

協力をしない相続人等がいると義務を履行できません。

しかし、改正後は相続人に対する遺贈に限り、遺贈による移転登記は、不動産の遺贈を受ける者が単独で申請することができようになるようです。

2. 氏名又は名称及び住所の変更登記の義務化及び罰則の制定ならびに法務局による所有者情報取得の仕組みの制定

住所が変わったら、変更登記することが義務化

PC

住所が変わったのに登記上の住所をそのままにしていると、相続後に登記名義人を調査する際に障害となります。

そこで、不動産の所有権登記名義人である個人や法人の氏名又は名称及び住所又は本店の変更があった場合は、変更の日から2年以内の変更登記申請を義務化されるようです。

違反した者は5万円以下の過料対象となるようです。

法務局が調べて、変更登記することも可能になります

また、法務局が、住民基本台帳ネットワークシステム又は商業・法人登記システムから、不動産の所有者が届け出た氏名又は名称及び住所の変更情報を取得し、職権で変更登記をすることができる仕組みを作るようです。

ただし、所有者が個人であるときは、本人への意向確認と本人からの申出を必要とします。

町

さらに登記記録に記録されている個人の住所が明らかにされることにより、個人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合などの事由があるときは、その者からの申し出により、法務局から交付される「登記事項証明書」に住所を公開せず、住所に代わる事項を記載した「登記事項証明書」が交付されるそうです。

生年月日なども必須になります。
国外に住む人は、国内の連絡先が必要です。

上記の仕組みを行うため、今後新たに個人が不動産登記申請をする場合は、生年月日等の情報を法務局に提供することが義務化されるそうです。

もっとも生年月日が「登記事項証明書」に記載されることはありません。法務局内部において検索用データとして保管されるそうです。

一方で法人の場合は、商業・法人登記システム上の会社法人番号等が「登記事項証明書」に記載されるようになるそうです。

また、国外に住所のある所有者に対しては、第三者を含む国内の連絡先となる者の氏名又は名称及び住所等の申告が義務化され、それらの情報が「登記事項証明書」に記載されるそうです。

名義人の死亡が確認された場合は、法務局が法務局が死亡を記録できます

電話対応

住民基本台帳ネットワークシステムで、法務局が「登記事項証明書」上の所有者が死亡していること把握した場合には、法務局の判断で所有者が死亡していることを「登記事項証明書」に記録することができることになるそうです。

ただし、あくまで死亡情報のみを記録するのみで、その相続登記の義務は免れることはできないようです。

所有している不動産の一覧情報(仮称:所有不動産記録証明書)を所有者本人やその相続人が法務局に交付請求できる制度も新設されるようです。

土地の所有権を放棄して国に渡すことができる

3. 土地の所有権放棄の制度化
相続等により土地を取得した者がその所有権を放棄して土地を国庫へ帰属させることが可能となる制度を新設されるそうです。

対象となるのは、

  • 建物がない
  • 担保権等がない
  • 不法投棄物や土壌汚染等がない
  • 境界争いがない
  • 管理又は処分にあたって過分の費用又は労力を要する土地でない
等の条件を全て満たした土地に限られます。

登記

申請時の手数料と、国が10年間管理するのに必要となる費用を申請者が納付しなければならなくなるようです。
詳細は現時点ではまだ明らかになっていません。

このページの情報は、令和3年4月時点のものです。以降、政令等が決まり内容が異なることがあります。

電話・オンライン相談はじめました

【相談時間のご案内】

平日 9:00-18:00
夜間 17:30-21:00
土曜 9:30-17:00

※夜間相談の曜日は各事務所により異なります

メインコンテンツ

メインコンテンツ

事務所概要

名古屋総合法律事務所

〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階(旧丸の内STビル)

予約受付時間
平日・土日祝6:00~22:00
初めての方専用0120-758-352|TEL 052-231-2601/FAX 052-231-2602

税理士法人名古屋総合パートナーズはこちら

TEL. 052-231-2603 FAX. 052-231-2604

アクセスはこちら

事務所外観

丸の内事務所外観

名古屋・丸の内エリア

名古屋丸の内事務所

金山事務所外観

金山エリア

金山駅前事務所

一宮駅前事務所外観

一宮エリア

一宮駅前事務所

岡崎事務所外観

岡崎エリア

岡崎事務所

対応マップ

より良いサービスのご提供のため、相続の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
【取り扱いエリア】
愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区, 豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村), 一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,羽島郡(岐南町 笠松町),本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
無料相談については、相続人・受遺者の方の内少なくとも1名が上記エリアにお住まいの場合、または被相続人の最後の住所地が上記エリアにある場合の方に限定させていただいております。

関連サイト

事務所サイト

当事務所の専門サイトのご案内
事務所サイトをご覧ください。

運営管理 Copyright © 弁護士法人 名古屋総合法律事務所 All right reserved.
所属:愛知県弁護士会

〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階(旧丸の内STビル) TEL: 052-231-2601(代表) FAX: 052-231-2602 初めての方専用フリーダイヤル:0120-758-352
■提供サービス…交通事故、遺言・相続・遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・後見、不動産・借地借家、離婚・財産分与・慰謝料・年金分割・親権・男女問題、債務整理、過払い金請求・任意整理・自己破産・個人再生、企業法務、契約書作成・債権回収、コンプライアンス、雇用関係・労務問題労働事件、対消費者問題、事業承継、会社整理、事業再生、法人破産 ■主な対応エリア…愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区, 豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村), 一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町) 愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市) 愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村)) 岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市 大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町)) 三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町)) 三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市) 静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)