相続人が他にもいるかもしれない場合

相続人調査と財産調査

Q. 父が亡くなりました。母も数年前に亡くなっているのですが、生前は父に苦労させられたようで、「若いころは愛人がいて、その子どもを認知した」とか、「知らない間に借金を作ってきた」とか話していました。その頃は若いころの苦労話として聞いていたのですが、父が亡くなり、相続という話になったとき、ふと心配になりました。このまま私たち兄弟だけで相続を進めていってよいのでしょうか。

回答

相続人と、相続財産についてきちんと調査をするべきです。

その理由・根拠

ア 相続人調査について

本件では、被相続人である父の配偶者である母がすでに亡くなっているので、相続人は、子どもということになりますが、これは、先妻の子も後妻の子も、嫡出である子もそうでない子も含みます。
つまり、父と愛人との間に本当に子がいれば、その子も相続人となるのです。そして、遺産を協議して分割してしまっていても後で他に相続人がいれば、これをもう一度やり直さなければならず、煩雑なだけでなくトラブルの原因にもなります。
そこで、相続人が誰であるかを調査した上で相続の手続きを進めるのが望ましいと考えられます。

イ 財産調査について

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条本文)。つまり、相続によって、相続人の利益になるプラスの財産のみならず、相続人の負担になるマイナスの財産も相続人は引き継ぐことになります。

これらを全体として考えなければ、相続放棄や限定承認をすべきなのかを判断できません。また、相続税についても判断できません。

父に借金があった場合、これは負の財産となるので、これを引き継ぎ、債務者となるのか、相続放棄をするのか、あるいは限定承認をするのか。これらの判断には期限がありますので速やかに相続財産を調査するのが望ましいでしょう。
プラスの財産を分けてしまったり、使ってしまったりすると、原則として相続放棄を行うことはできなくなってしまいます。後で莫大な借金が判明すると大変ですので、プラスの財産に手をつけずに、マイナスの財産もきっちりと調査するようにしましょう。

どうすればよいのか?

相続人の調査には基本的には、戸籍謄本を取り寄せることになります。
愛人の子であっても、認知していれば、戸籍の身分事項欄に、認知した旨が記載されているので、父の隠し子の存在を確かめることができます。場合によっては除籍謄本・改正原戸籍謄本・改正原除籍謄本を調べることになるでしょう。本籍地が変更している場合には、これらすべてを調べます。

相続財産については不動産の場合は不動産の権利書、登記識別情報、固定資産税の納付書、市町村役場の名寄帳などから探します。預貯金は銀行の通帳・取引明細書から、株式などの有価証券は金融機関や証券会社などに取引残高明細書、取引明細書、評価証明書の発行を依頼します。借金については、銀行・クレジット会社・消費者金融からの借り入れなら、信用情報機関に郵送で開示を請求することが考えられます。個人からの借り入れなら、借用証を探すなどすることになるでしょう。
いずれにしても、父が大切なものを保管している場所を見つけることが大切になります。たんすの引き出し、銀行の金庫など、思いつく場所は調査するようにしましょう。そして、これらの財産をまとめて記載したものが相続財産の目録となります。

なお、いずれの調査も、とても大切なので、自分の手に負えない場合は専門家である信頼できる弁護士に依頼するのもひとつの手でしょう。

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